今週から、K先生が一年目の研修医として麻酔科にローテートして来られます。今年度初めての男性です。今年の初期臨床研修医は女性が多いので、久々に男性が現れたという印象ですね。
今日、K先生は、万が一の出血にそなえて、初めて18Gの留置針で点滴路を確保しました。
M先生から麻酔器の点検について 説明を受けているK先生 |
さて、輸血の可能性があるような症例で、どうしてできるだけ太い留置針で点滴路を確保する必要があるのでしょうか?
それは、太い留置針の方が血液や輸液などの流体を通すときに抵抗が少ないからなのです。では、たとえば、針の直径が2倍になると、管を流れる流体の受ける抵抗は何分の1くらい(つまり、流速は何倍くらい)になるでしょうか?
実は、管の直径が2倍になると、管を流れる流体の受ける抵抗は、何と16分の1になる(したがって、流速は16倍になる)のです。実に4乗のオーダーで効果が出るのです。だから、急速に輸液や輸血をする必要がある場合には、可能な限り太い留置針で点滴路を確保すべきなのです。
ちなみに、管の長さや粘度は、1乗のオーダーで効いてきます。つまり、管長が半分になったり、粘度が2分の1になると、管を流れる抵抗は半分になるだけです。
ときどき、点滴を早く落とそうとして、輸液の本体を高く上げることがありますが、これも位置のエネルギーmghの高さhを増やすだけなので、やはり1乗のオーダーの効果しかありません。管の直径がもたらす効果には、遠く及ばないのです。
流速=πPd⁴ / 128ηlと表すことができます。ここで、Pは圧力、dは管の内径、ηは液体の粘度、そしてlは管の長さです。
ところで、今日は宵山。鉾をもうひとつ紹介します。四条通りから新町通りをかなり南に下ったところにある舩鉾(ふねぼこ)です。船の形をしたユニークな鉾で、なかなか人気があります。
舩鉾。右が船首 |
げき(鷁)の後ろ姿 |
舩鉾の船首に飾られたげき(鷁) |
船首には、げき(鷁)と呼ばれる想像上の黄金の鳥が飾られ、安全に航海できることを祈願しています。
天井に描かれた花の絵 |
螺鈿細工の龍 |
鉾に上がると金色の天井に20の花の絵が描かれています。後方には螺鈿細工の龍が描かれるなど、装飾はきらびやかです。
舩鉾の天井前方 |
鉾に上って、見下ろすとけっこうな高さです。
配られているちまきの裏には、こんな句が書かれています。
舩鉾に 上れば下は 人の波
玉河
今日のお土産
N先生からタイのお菓子をいただきました。ありがとうございました。