2013年7月11日木曜日

メインストリームはもはやメインストリームではない?

 今朝は、始業前に、新館7階の小ホールで「研修医育成の会」が開かれました。
朝の研修医育成の会での討論風景

 「研修医育成の会」は毎月開催されていますが、今年からは内科のK先生の主導で、運営されるようになりました。今日は、麻酔科と救急科の指導医が参加して、研修医から麻酔科と救急科の研修内容に関する意見を出してもらいました。三つのサブグループに分かれて、フリーディスカッションをし、グループごとに意見を集約して発表するという形式で行われました。

 去年までは、研修医自身が発言する機会があまりなかったようなのですが、今回は、臨床指導医が司会をして研修医に発言をうながしていました。まだ、当該科をローテートしていない研修医もいたので、具体的な意見は出しにくかったようですが、病院全体の医師が研修医を支えているということを示す意味で、ふだん見ていない上級医の顔を見るだけでもプラスになったかもしれませんね。

 さて、今日の『MGH麻酔の手引き』の読み合わせは、先週に引き続き、モニターの章でした。担当のE先生は、カプノグラフの測定方法のところで少し戸惑っておられました。

 Mainstream capnographs often cause traction on the endotracheal tube and can cause burns by radiant heat, while side stream capnographs have a measurement delay based on sample volumes and may result in significant leaks from sampling.

 カプノメータは、その測定方法の違いから、メインストリーム式のものとサイドストリーム式のものがあります。
 メインストリーム式は、挿管チューブから蛇管の間に分析装置付きのコネクターをつけて使用します。後にはかなり軽量の測定装置が開発されましたが、初期の頃はかなり重量があって、挿管チューブが折れ曲がったり、側臥位で使用したりしたときには、抜けてくる(traction)のではないかとヒヤヒヤしていました。また、分析器がコネクターそのものについているために、ここが発熱して、確かにやけど(burns)しそうになることもありました。
回復室の倉庫で見つけたメインストリーム式カプノメータ
黒い四角い部分が分析器
L字管と蛇管の間に、手前にある窓付きコネクターが
接続されています


矢印の側から赤外線が出る
下側が検知器

この部分がけっこう発熱します
窓を赤外線が横切って
対側の検知器に情報が送られる
ガスは、窓の部分を左右に行き来する














 サイドストリーム式では、サンプリングチューブで吸引したガスを離れた位置にある分析器で分析して値を表示するために、呼気のタイミングよりも遅れてガス組成の分析結果が表示される(a measurement delay)のと、サンプリングのために麻酔回路からけっこうな量のガスが失われる(significant leaks from sampling)のが欠点です。ことに、最近の低流量麻酔などでは、ガス分析のために吸引されるガスの量は吸入麻酔薬の濃度などに影響を与えるので、無視はできません。
 最近は、サイドストリーム式が主流になっていて、メインストリーム式はあまり見かけなくなってしまったので、見たことのないメインストリーム式の翻訳で、若いE先生が戸惑われたのでしょうね。

 今日は、日没後、西の空にきれいな三日月がかかっていました。新月からちょうど三日目で、月齢は3.2でした。最近の月は何となく大きく見えるなぁ、と思っていたら、今は月が地球に近づいている時期にあたるのだとか。先月の23日が再接近した日で、地球からの距離は、約35.7万km。いちばん遠ざかるときが約41万kmなのだそうです。これは、月の軌道が正円ではなく、楕円軌道を描いているために生じる現象なのだそうです。