高校生のとき、このネジバナは別名「しのぶもじずり」というのだと、国語の先生から教えてもらったように記憶しています。そして、百人一首の中にある、次の歌と一緒に、花の名を覚えました。
みちのくの しのぶもぢずり 誰(たれ)ゆゑに
みだれそめにし われならなくに
でも、この歌に出てくる「しのぶもぢずり」というのは、実は染め物の文様のことのようです。つまり、「みちのく(今の東北地方)にあるしのぶもぢずりという染め物の柄のように、私の心は乱れている」という意味です。そして、この歌は「こんなに心が乱れているのは誰のせいかしら?私自身のせいじゃないわよ。そうよ、あなたのせいなのよ」という恋の歌なのですね。
ネジバナの別名は、モジズリと言いますが、どうやらこのネジバナの花の並び方が、染め物の「しのぶもぢずり」に似ていることから、その名がついたようです。
ところで、流れには、層流と乱流があります。
しずかでゆっくりとした川の流れは、川の中央部がいちばん速度が速く、岸に近づくほど、層状に流速が遅くなってくるように流れています。これを層流と言います。
一方、狭くて流れの速い川では、あちらこちらに渦ができるように流れています。このような流れが乱流です。
層流の流れにインクをたらすと、ツーっと一本線になって流れますが、乱流では、インクが広がってしまいます。
直感的には、川の幅が狭くて、流れが速いほど乱流になりやすいことが想像できます。また、同じ川幅でも、水飴のように粘度が大きな流体だったら、層流になりやすい感じがすると思います。これらの因子を総合して、流れの様子を表した数値がレイノルズ数です。
人体の血管内での血液の流れも同様のことが言えます。心臓から拍出されたばかりの上行大動脈でのレイノルズ数は3600〜5800で、乱流となっています。しかし、血液の流速が末梢へ行くにしたがって落ちてきて、流れは層流となります。毛細血管ではレイノルズ数は110〜850になっています。そして、大静脈にはいると630〜900となって、右心房へと帰って行きます。
以上から、しのぶもぢずりのような乱流は、心臓を出たほんのひとときで、脳循環に入れば、クールな層流となるようです。ということは、やはり恋したときにどきどきする感情は心臓のそばから生じていると言えそうですね。
今日のお土産
今日は、京大医学部の麻酔科から、K先生が京都市立病院麻酔科と手術室を見学に来て下さり、下鴨のブティック・ド・ガトー『ラマルティーヌ』のフランス洋菓子の詰め合わせをいただきました。
ありがとうございました。