2013年3月30日土曜日

馬は酔ってもインディオはしびれない

街を歩くと、今は桜がまっ盛り。

 阪急電車の先頭車両にもさくらの看板。



公園の桜も
今や満開。





 錦市場にある八百屋さんの店先で、小さな野菜や果物に顔を描いた、愉快なディスプレイを発見。











 花屋さんにはチューリップが目立ってきましたね。














南駐車場出入り口にあるアセビの木
さて、京都市立病院の南駐車場の出入り口には、アセビの木があります。 アセビは、この季節、スズランのような可憐な白い花をたくさん咲かせます。
 このアセビ、漢字では馬酔木と書きます。昔、馬がアセビの木の葉や枝を食べて、足がフラフラになったのを見た人が字をあてたのかもしれません。
 実際、アセビには、グラヤノトキシンという毒素が含まれていて、これを食べると、嘔吐・下痢などの消化器症状とともに、四肢がしびれるという神経症状があらわれるそうです。
 奈良公園では、シカたちがアセビを食べないため、所によってはアセビの林のような場所もできているとか。

 アセビの毒素は、胃粘膜あたりから吸収されるので、神経毒になるのでしょう。
白いツボ状の花は可憐だけれど、食べると…
一方、現在麻酔で使われている筋弛緩薬のルーツであるクラーレは、アマゾンのインディオであるヤノマモ族が矢毒として使用しているものです。彼らは、矢尻や槍先に植物から抽出したクラーレ成分を塗って、吹き矢を当てて捕まえたサルなどを食べています。
 このとき、アセビのもつグラヤノトキシンと同じように、食べた毒が体内に吸収されてしまったら、食べた人にも毒の効果すなわち筋弛緩効果が現れてしまうことになってしまいます。

 ところが、クラーレで殺した動物の肉は、どこを食べても安全なのです。これは、クラーレが、強酸性の環境である胃液の中では解離型といって、イオンの状態で存在しているために、組織の中を通過できず、体内に吸収されないからなのだそうです。(参考:天木嘉清『アマゾンからの贈り物 矢毒クラーレの旅』[真興交易医書出版部])

 クラーレを用いた矢毒というのは、自然界にある毒の性格を見抜いて作られているのですね。