2012年11月30日金曜日

BGMは手術室の音楽療法なのだ


 手術を前にした患者さんは、不安と緊張でいっぱいです。
 わたしたち麻酔科医や手術室看護師の役目のひとつは、こうした患者さんの不安を軽減することにあります。そのために、京都市立病院では、看護師や医師が、前日に術前訪問を行っています。

 そして、手術当日、手術室の第一ドアをくぐると、昨日ベッドサイドに来てくれた看護師さんが、出迎えてくれます。ここで、ひと安心。

 手術室に向かう道すがら、ふと気を留めると、耳に心地よいBGMが聞こえているではありませんか!緊張していた患者さんは、これでホッとして心を和ませます……という状況が理想なのですが、実際のところはどうでしょう?

 このBGMは、手術室内にだけ流れるように設計されているので、院内に流れるBGMとは異なっています。現在は、25枚のCDがセットできて、エンドレスでリピートできる機能がついた、CDエクスチェンジャーが活躍しています。


 さて、麻酔科医員室では、毎週金曜日の夕方には勉強会を開催しています。
今日は、薬品会社の学術担当の方から、研修医の先生方も交えて「術後のシバリング」についてのお話を聞きました。

  興味深かったのは、シバリングの訴えは、東日本より、西日本に多いという話。なぜなのでしょうね?
 シバリングは、入室時の室温にも影響されるらしいのですが、京都市立病院手術室では、患者さんの入室時には室温を26℃と少し高めに設定しています。また、看護師は、患者さんが横たわる手術台をあらかじめ、ウォーマーで温めています。こうした配慮も、術後のシバリング予防に効果があるそうです。

 勉強会が終わって外に出ると、すっかり夜。建築中の新病棟の建物に灯りがともっていました。今は、インテリアの作業段階なのでしょうか?
 建物に灯りがともるだけで、なんだか暖かい雰囲気になりました。

2012年11月29日木曜日

大阪ガスは酸素も供給してくれるのだろうか?

 今朝は、昨日よりも3度くらい気温が高かったそうです。それでも、平年よりは少し寒いとか。
 麻酔科のA部長は、朝から花粉アレルギーのせいか、くしゃみと鼻水のフーガの嵐の中で大苦戦。日がな一日、ティッシュペーパーをかかえ込んでいました。

         花粉症 ひねもす くしゅんぐすりかな

 毎週木曜日は、ドクターMが来てくれています。今日は、研修医の先生が体調をくずして休まれていたので、大奮闘でした。終わってからの仕事の処理中の姿をとらえました。
 「今日のお昼はつるあんの玉子とじうどんでした。」


 今月は麻酔科と救急科を半々にローテしているドクターTは、シュレッダーにかける書類を処理中。これで、今日の仕事は終了!
 「なんか、この電卓、顔でかいすね。」

 さて、今日は院内中央配管の酸素の話題。以前、「この中央配管の酸素って、どこから来てるか知ってる?」という質問をしたときに、「大阪ガス」と答えた研修医がいました。みなさんは、京都市立病院の中央配管から供給される酸素ガスがどこから来ているか、ご存じでしょうか?

 実は、この酸素は、院内に設置された、液化酸素のタンクから供給されています。現在は、工事中で、渡り廊下の陰に隠れて見えにくいのですが、本館の最西端の外に設置されています。















  この院内で使用される医療用酸素は、実は薬剤と同じ扱いをしています。だから、液化酸素タンクの酸素の残量のチェックは薬剤科の仕事になっています。
北館へ酸素を供給する液化酸素タンクは、職員駐車場の南側にありました。
















 今夜は十六夜。満月よりも風流ですね。



2012年11月28日水曜日

気管挿管できたかどうかは、最初のひと呼吸で見極めよ!


 今朝の京都は、今年一番の冷え込みでした。
 公園の植え込みにもうっすらと霜が降りていました。

 愛宕山にもガスがかかって、幻想的でした。

 朝は、抜けるような秋の青空に、刷毛ではいたような雲が浮かんでいました。

 天高く、カメ?肥ゆる秋、ですね。(笑)これらのお菓子は、京都市立病院の売店で手に入ります。

 夜は、満月でしたが、残念ながらうっすら雲がかかって、おぼろ月夜でしたね。

 で、朝見た霜からの連想です。気管挿管した後で、食道挿管ではなく、確実に気管にチューブが気管に入っていることを確認するときは、たいてい聴診していると思います。でも、気管挿管できたかどうかは、蛇管をつないで最初のひと呼吸でほぼ判断できます。

 まず、吸気で胸が左右均等に挙上しているのを目視する。次に、呼気で挿管されたプラスチックチューブの内面が、曇るかどうかを目視することです。これが確認できたら、九割方気管挿管は成功しています。
 最近は、カプノメータなどのモニターにたよる先生が目立ち、案外、目で見る、耳で聞く、手で触れる、鼻でにおう、などといった五感で確かめることがおろそかにされているように感じます。

2012年11月27日火曜日

手術室:室の四隅は直角ではなかった!

 京都はお寺の多い街です。京都市立病院の周りにもたくさんお寺があります。西大路四条の角にある高山寺というお寺には、高さが10メートルくらいもある大いちょうの木があって、今はすべての葉が、鮮やかな黄色に色づいています。

 今日は、目下、麻酔科ローテート中の研修医の先生方の働きぶりをご紹介します。

 ドクターYは、二年目研修医。PCAポンプを硬膜外カテーテルに接続中。
 「今日の硬麻は効いてくれるかな?」

 現在のローテーターで紅一点の一年目研修医、ドクターT。
 「そろそろエスラックス入れようかな〜?」

 クリーンルームで、厳しい視線でオペを見守る一年目研修医、ドクターT。
 「バイタルよし。麻酔深度よし。オペ早よ、しよし。」

 専攻医のドクターK。
 「あ、おれ写真苦手やねん。」
 「じゃあ、私が代わりに写っていい?」(友情出演:ナースO)


 さて、今日は手術室の四隅の話でした。
 普通の部屋の四隅は直角(90度)に作られていますね。でも、手術室の四隅は、下の写真のように、135度の鈍角に仕上げられています。なぜでしょう?
 これは、掃除の時に、室の四隅にたまったホコリを取りやすくするためなのだとか。

 ところで、2500年前、孔子はこんなことを弟子たちの前で言いました。
 「一隅をあげて、三隅をもって反(か)えらざれば、すなわち復(ま)たせざるなり」
佐久協氏の訳はユニークですが、それを紹介します。
 「四角なものの一隅を説明したら、残りの三隅は自分で類推する意欲がなければ、教えてもまずムダだね。つまりだ、真の教育は教わる者の自発性を高めることに力を注ぐべきなんだ。自発性さえ芽生えれば、誰もが自学自得するようになるよ。ムリやり知識を押しつけて教育したつもりになっているのは、とんだ思い違いさ。」

 手術室の四隅が直角でないことと、孔子の言葉は何の関連もありませんので、深く追求しないで下さい。

2012年11月26日月曜日

左利きの麻酔科医は喉頭鏡をどちらの手に持つか?

 京都には、街中を走る路面電車があります。嵐電(らんでん)の愛称で親しまれる京福電鉄がそれです。一両あるいは二両編成の路面電車で、四条大宮から嵐山へ、途中の帷子ノ辻(かたびらのつじ)で乗り換えると、北野白梅町へ、というルートを走っています。

 京都市立病院の最寄り駅のひとつに、西院という駅があります。この駅、嵐電では「さい」と読みます。でも、同じ場所にある阪急電車の駅名は「さいいん」なのです。同じ漢字なのに、読み方が違っているのもナゾですね。




 嵐電は、「さい」と読みます(左)。
 阪急は、「さいいん」と読みます(右)。







  西院駅のフォームに入る嵐山行きの嵐電ですね。これは、京都の生八つ橋の宣伝をラッピングした車両です。

  この西院駅を出て、四条を超えたところに、「ギター教室」の看板があります。この看板、なぜか文字が鏡文字になっています。これもナゾです。


この四条を横切る踏切(踏切といっても遮断機はありませんが)のそばにある花屋さんの門前に、シクラメンの鉢植えが置かれていました。花屋さんは、早や冬支度。



 さて、今日は、左利き用喉頭鏡のお話でした。

 ふだん使っている喉頭鏡は、左手に持ちます。左利きでも左手に持ちますね。右利きが喉頭鏡を左に持つのであれば、左利きは喉頭鏡を右手に持つのが自然な気がします。そんな喉頭鏡ってあるのでしょうか?

 京都市立病院の麻酔科には、実は「左利き用喉頭鏡」というのがあるのです。
 下の写真を見て下さい。



 向かって、右側のが、ふだん使っている喉頭鏡です。そして、左側のが、「左利き用喉頭鏡」なのです。

 日常の臨床では、左利きのドクターであっても、右側の喉頭鏡でトレーニングを受けますし、全国大半の病院には右側の喉頭鏡しか置いてありません。では、「左利き用喉頭鏡」というのはどんなときに役に立つのでしょうか?

 たとえば、舌腫瘍が舌の右側にあって、容易に出血しやすいといったような場合、右側の喉頭鏡を用いると、ブレードが舌の右方に触れて、腫瘍から出血してしまう恐れがあるかもしれません。このような場面では、左側の喉頭鏡を用いると、ブレードが舌の左側に当たるので、出血の心配はなくなるわけです。
 また、増長した麻酔科医に初心を思い起こさせるために、たまにこの左利き用喉頭鏡を使うと、あるいは初心を思い出せるかも知れない、という効用もあります。(笑)

 一家に一台、じゃなかった病院にひとつあってもいいかも、という道具でした。
(もっとも滅多に出番はなさそうですが…)

2012年11月24日土曜日

京都の秋は新病棟のうわさで持ちきりだ

 京都は、今、紅葉のまっ盛りです。

 鴨川べりもモミジとサクラがすっかり色づいています。

京都市立病院は、来年3月から新病棟を立ち上げます。手術室も、新たに4室新設されます。1室の広さは、現行の手術室の約二倍です。現行の手術室とあわせて、全部で10室稼働する予定です。

 先日、新手術室の見学会がありました。
 赤いヘルメットをかぶって、ナースとともに、新手術室を見学しました。これが、新しい手術室の中です。何も置いてなかったので、余計にひろく感じました。
外周廊下が、清潔物品を扱うエリアになる予定です。
外周廊下の北には、大きな窓があって、北を望むと左大文字が見えました。ということは、ここで大文字の送り火が鑑賞できる!
 夏の送り火が楽しみです。
新病棟の外観は、こんな感じです。北のロータリーから見ると…
そして、南から望むと…
手前に見える建物は、現救急室です。救急室も新病棟に引っ越しをする予定になっています。
 新病棟の全体像は、本館正面玄関にある模型を見ると分かります。


う〜む。ヘリポートもできるのか…

2012年11月17日土曜日

2012年11月17日(土)
今日から京都市立病院機構麻酔科のブログを立ち上げます。
どうぞよろしく。