19歳の青年が、「リーダーシップのための逆説の10カ条」を書きました。ハーバード大学の二年生のときのことでした。これは、高校の自治活動で活躍しているリーダーたちのための小冊子の中に書かれていました。
彼は、この「逆説の10カ条」を、一つの挑戦として書きました。その挑戦とは、仮にほかの人たちがそれを良いこととして評価してくれなくても、正しいこと、良いこと、真実であることを、常に実行してみませんかという挑戦でした。
それから、25年が経って、ホノルル警察署の署長から電話がかかり、25年前に自分が書いた「逆説の10カ条」が警察署長の会議で紹介されたことを知らされます。さらに、1997年にマザー・テレサが亡くなって間もなく、彼の「逆説の10カ条」が、カルカッタの〈孤児の家(シシュ・バヴァン)〉の壁に、デフォルメされた形で書かれていたことを知ります。
30年も前に、自分が書いたものが、インドにたどり着いて、マザー・テレサか、あるいは彼女の仲間の一人がその言葉の重要性を認めてくれた。子どもたちの面倒をみていくに当たって、壁に貼って毎日みるだけの重要性があると考えてくれたのだ、ということを思い、彼は深く感動したそうです。
この「逆説の10カ条」を書いたのは、ケント・M・キースという男性。そして、「逆説の10カ条」は、次のような内容でした。
1.人は不合理で、わからず屋で、わがままな存在だ。
それでもなお、人を愛しなさい。
2.何か良いことをすれば、
隠された利己的な動機があるはずだと人に責められるだろう。
それでもなお、良いことをしなさい。
3.成功すれば、うその友だちと本物の敵を得ることになる。
それでもなお、成功しなさい。
4.今日の善行は明日になれば忘れられてしまうだろう。
それでもなお、良いことをしなさい。
5.正直で率直なあり方はあなたを無防備にするだろう。
それでもなお、正直で率直なあなたでいなさい。
6.もっとも大きな考えをもったもっとも大きな男女は、
もっとも小さな心をもったもっとも小さな男女によって
撃ち落とされるかもしれない。
それでもなお、大きな考えをもちなさい。
7.人は弱者をひいきにはするが、勝者のあとにしかついていかない。
それでもなお、弱者のために戦いなさい。
8.何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去るかもしれない。
それでもなお、築きあげなさい。
9.人が本当に助けを必要としていても、
実際に助けの手を差しのべると攻撃されるかもしれない。
それでもなお、人を助けなさい。
10.世界のために最善を尽くしても、
その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれない。
それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。