2013年11月6日水曜日

スティーブ・ジョブズとリーダーシップの4E

 先日ロードショウが始まった、『Steve Jobs』(ジョシュア・マイケル・スターン監督・制作)を観てきました。
映画のパンフレットには、表紙に傷がつくのを防ぐための
保護用紙(SCRATCH PREVENTION PAPER)がついていました。
ジョブズだったら、こうするだろうな、という意図からでしょうか?

ジョブズたちがコンピュータのロジック・ボードを
作り始めたガレージは、シリコンバレーに残っている
実際に使われたガレージをロケに使ったそうです。

 映画は、2001年のiPodの発表の場で、ジョブズが社員から拍手喝采を浴びる場面から始まります。
 そこから、一気にスティーブ・ジョブズが、大学をドロップアウトする辺り(1974年)に戻って、物語が進んで行きます。スティーブ・ウォズニアックとともに革新的なパーソナルコンピュータを作り、アップル社を立ち上げ(1976年)、マイク・マークラという出資者を得て、会社をどんどん大きくして行きます。
 ジョブズは、経営の手腕を買って、ペプシの社長であったジョン・スカリーをアップル社の経営陣として迎え入れ、Macintosh(Mac)を世に送り出します(1984年)。

 やがて、ジョブズ自身が引き入れたCEO(最高経営責任者)から、ジョブズのやり方は身勝手過ぎると言われ、経営陣と対立した末に、ジョブズは自分が作った会社を退社することになってしまいました(1985年)。
 ジョブズが去った後、アップル社は低迷を続けました。株価がどん底になったとき、経営陣は彼を呼び戻す決定を下します(1996年)。
 そして、自らがアップルのCEOとなったとき、ジョブズは旧経営陣を一掃します。その中には、ガレージでコンピュータを作っていたときに出資を名乗り出た、20年来の相棒マイク・マークラも含まれていました。
 旧体制を一掃した後、ジョブズは快進撃を開始していく、というところで映画は終わります。

 ジョブズが、ことある毎に、仲間や部下に向かって、「なぜ、この会社に留まっているんだ?」とか「自分たちの目的は…」と語っている場面が印象に残りました。単なる優れたモノを創るのではなく、「動機は何なのか」にこだわっていた彼の姿勢が描かれていました。

ジェフリー・A・クレイムズ
『ジャック・ウェルチのリーダーシップ4つの条件』
(ダイヤモンド社)


 もうひとつ、経営者としてのジョブズは、リーダーシップを発揮するときに、妥協を許さなかった姿も描かれていました。

 かつての同僚を切り捨てる姿や、必要な人材は、自らが出向いて行ってスカウトする姿を見ていて、かつて、GEのCEOを務めたジャック・ウェルチが唱えた、リーダーシップの4Eを思い出しました。














 ジャック・ウェルチは、理想的なリーダーは4Eをそなえている、と言いました。その4Eとは…

  自分自身がエネルギー(Energy)に溢れている
  周囲を元気づける(Energize)
  エッジ(Edge)を持っている
  実行力がある(Execute) 

 スティーブ・ジョブズは、まさに、この4Eを備えていた理想のリーダーだったと言えるのではないでしょうか。
 エッジというのは、日本語にしにくい言葉ですが、要は、競争心が強くて、本当に困難な決断を下すときにためらわない、という断固とした姿勢のことです。映画の中で、コンピュータのフォントを増やそうと提案したときに、それに難色を示した優秀な社員を、ジョブズはその場で解雇していました。まさに、鋭い刃(Edge)で、切り捨てたのでした(Execute)。

 世界中の人々に、コンピュータを行き渡らせ、美しくて、革命的な電子機器を提供してくれたジョブズでしたが、彼は、彼の家族や周囲の仲間たちを幸せにできただろうか、と問うといささか疑問が残ります。
 映画では、自分の娘を認知しようとしないかたくななジョブズの姿が描かれていました。また、彼の体の一部のような存在であったスティーブ・ウォズニアックも彼の元を離れて行ってしまいました。

 経営的手腕を備えた芸術家とも言えるスティーブ・ジョブズは、私生活の面では、思いやりに欠ける人物だったのかもしれませんね。

今日のお土産

 東京へ行かれたTk先生から、お土産に銀のぶどうのサンドウィッチショコラをいただきました。ありがとうございました。