バス停から見えた虹の足もと |
家を出たときには見えなかった虹が、ほんの数分の間に、忽然と空にアーチをかけました。
雨上がりの水分をたっぷり含んだ大気と、雲間から射しこむ太陽光、それと自分が立っている位置によって、見事な虹を見ることができたのでした。
昨夕は、角度の関係からか、大気中の水分量の不足からか、虹は部分的にしか見えませんでした。しかし今朝は、端から端まで見事な虹が見えました。
バスに乗って、虹が見える条件に思いを巡らせているうちに、初期臨床研修の学びの成果というのは虹なのではないだろうか、と思いいたりました。
アーチが大きすぎて、 一画面には収まり切りませんでした。 |
太陽の光は、外から与えられる「情報」で、欲求を触発する要因と考えられます。そして、大気中の水分は、「安心して学べる環境」ではないかしら。臨床研修の場では、病院というハードだけではなく、「安心して学べる『人的』環境」(職場の人間関係)も大きな要素であると考えられます。いずれにしても、この環境が整っていないと、「情報」だけでは成果があがらないのではないでしょうか。
今朝の虹、病院の敷地からも見えました。 南駐車場の北西に見えた虹。 微妙に立ち上がりの角度が違っていますね。 |
虹が「研修の成果」(学びの成果)だとすると、「情報」と「安心して学べる環境」だけでは、まだ虹は見えません。そこには、当然、虹を見ようとする主体、つまり研修医自身がいなくてはなりません。
しかし、その研修医も、太陽(「情報」)の方ばかりを見つめていたのでは虹は見えないでしょう。虹が見える方向は実は、情報を背にした方向なのです。そこは、広く「地域全体」、「社会全体」なのかもしれません。また、体がそちらを向いていても、目を開いていなければ、やはり虹は見えません。この目を開くことは「知的好奇心」をもつことに当たるでしょうか?さらに、虹が見えにくいときには、見えやすい場所に自らが移動するという「自発性」も必要になるかも知れませんね。
虹の見える条件を図示すると… |
この図式、実を言うと、櫻井茂男氏の「自ら学ぶ意欲のプロセスモデル」からヒントを得たものなのです。
自ら学ぶ意欲のプロセスモデル 櫻井茂男『自ら学ぶ意欲の心理学』[有斐閣]より |
同じ環境で同じ情報が与えられても、成果を上げられる研修医とそうでない研修医が出てくるのは、研修医自身の「自発的動機づけ」の多少に左右されているのかも知れません。