2013年11月18日月曜日

ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ

 1960年代の終わりから70年代にかけて活躍したロック・グループに、ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズというバンドがありました。

ブレッカー・ブラザースの《ヘビー・メタル・ビイ・バップ》
メチャクチャとんがったアルバムです。
トランペットのランディ・ブレッカーは、かつては
ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズのメンバーでした

 ファースト・アルバムは、グループ名と同じ《ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズ。ギター・ベース・ドラムスに、キーボードとブラスが加わった厚みのある音で、クラシックとジャズの雰囲気を取り入れた独特のバンドでした。

 ブラッド・スウェット・アンド・ティアーズとは、日本語では「血と汗と涙」となります。実は、この「血と汗と涙」は、麻酔科医にとっても関心のあるものばかりなのです。
 






血と言えば吸血鬼
世の中にはこんな事典もあるのですね。



 ブラッドは出血ですね。手術には出血はつきもの。血圧低下の原因はいろいろ考えられますが、どんな手術の場合でも、出血の可能性をはずすわけにはゆきません。出血量の増加に伴い、出血への対応は変わってきます。
 患者さんのもともとの赤血球量にもよりますが、出血量が500gから1000gくらいまでは、ボリューム(循環血漿量)が大事です。この程度の出血量であれば、代用血漿などの膠質液を輸液すれば、循環動態は安定します。出血量が1000gを超えると、酸素の担体であるヘモグロビンが低下するので、赤血球輸血を意識しなければなりません。さらに出血量が増えると、今度は凝固系に影響が出てきます。血小板の減少、液性凝固因子などが枯渇してきます。出血量が数千gとなったときには、血小板輸血やFFP(新鮮凍結血漿)などの輸血を考慮しなければなりません。





 スウェットは。全身麻酔のときは、発汗は抑制されています。耳鼻科手術のように術野からの不感蒸泄がほとんどないときなどは、うつ熱といって体温上昇がみられることがあります。この状態は、硫酸アトロピンが投与されていると、助長されることがあります。
 浅麻酔のときなどには、発汗が見られることがあります。また、悪性高熱症の場合にも発汗が見られることがあります。悪性高熱症は、体内で代謝が異常亢進している状態だと考えられるので、発汗が見られるのです。
井上雄彦『SLAM DUNKスラムダンク』より。
湘北高vs山王工業戦のラスト20秒間は、ほとんどセリフはなく、
汗ばかりが目立っていました。

 ティアーズは。全身麻酔から覚醒しつつある患者さんの目パッチをはがしたときなどに、落涙が見られることがあります。これは、何も悲しくて涙を流しているのではありません。
 涙は、目の角膜の乾燥を防ぐために常に流れるものです。全身麻酔の間は、角膜の乾燥を防ぐために目パッチや目を閉じるテープを用います。この目の保護が不十分だと乾燥して角膜炎を起こすことがあります。最近では、術中の低体温を防止するために、温風の出るブランケットを使用する機会が増えましたから、角膜の乾燥にはよりいっそう注意を払う必要がありそうですね。
十字架はキリスト教の象徴のように
考えられていますが、果たしてイエス自身は
今日のように十字架を象徴とすることを
良しとしていたのだろうか?と疑問を
投げかけた問題作。