日ごろ、本屋やamazonで見つけた面白そうな本を、いつかは読もうと思って買い込んでいると、読む暇がなくて、どんどん溜まってきてしまいます。最近の出版界は、回転が速く、うかうかしていると新刊書でも書店で手に入れられないことがあります。本は生鮮食品だから、見つけたときに買っておかなければ…というのは、単なる言い訳ですね。
でも、一流の読書通によれば、読書には要領があるようです。
成毛眞『本は10冊同時に読め!』 (三笠書房) |
いつも過激な成毛眞氏は、「超並列」読書術を進めています。これは、場所ごとに読む本を買え、1日の中で何冊もの本に目を通す読書法です。成毛氏の家には、リビングに50冊以上の本が置いてあり、寝室には2、3冊、トイレにも3、4冊の本が置いてあるそうです。また、会社の机の上にも数十冊の本が積んであり、カバンの中には通勤用の本が常時2、3冊入っていると言います。ふぅ〜…。
しかも、成毛氏は、「超並列」読書で読む本は、なるべくバラバラのジャンルの本がよいと言っています。ビジネスマンにとっては、あらゆる本を読んで脳のあらゆる部分を刺激させたほうが、仕事に必要な感性が磨けるのだ、そうです。いきなり同時に10冊というのは無理だろうから、まずは3冊から始めてみようと、提案しています。
奥野宣之『だから、新書を読みなさい』 (サンマーク出版) |
奥野宣之氏も、一度に3冊読め、と勧めています。奥野氏の場合は、あるテーマに興味をもったとき、とりあえず新書を3冊まとめ買いして、短時間で一気に読んで、自分なりの意見や考えをまとめる、という読書法を提案しています。この技術を奥野氏は、「新書ザッピング術」と名づけています。
新書を選んだのは、何といっても価格が安いから。単行本なら1冊しか変えない金額で、うまくいけば新書が2冊買えます。それに、ロングセラーが豊富なのも、決定的に重要な点なのだそうです。さらに、小さくて軽いから、3冊カバンに詰め込んで持ち歩くことができるといったメリットもあります。
この場合でも大事なのは、「同時に3冊平行して読む」ことだ、と強調されていました。ただし、こちらは、バラバラのテーマではなく、ひとつのテーマに沿った読書ですね。
松岡正剛氏は、「読書は編集だ」と言っています。つまり、読書というのは、「著者が書いたことを理解するためだけにあるのではなくて、一種のコラボレーション」なのだそうです。
松岡正剛『多読術』 (ちくまプリマ—新書) |
松岡氏の読書術や多読術の方法は、「自分の気になることがテキストの”どの部分”に入っているのか、それを予想しながら読む」および「読書によって読み手は新たな時空に入ったんだという実感をもつ」ことなのだそうです。そして、この二つのことをあらかじめはっきりさせるための方法として、読みながらマーキングすること(そして、本にどんどん書き込みをすること)を勧めています。