「だから、まずはうまくできたり、美味しい料理を作ったりしたときには、「そうそう、うまくできてる!」「美味しくできたじゃん!」としっかり褒めてやる。逆の立場になってみると、自分が一生懸命やったことを褒められたら嬉しいからだ。ダメなときは「これはこうやったほうがいいな」と教えることもあるが、頭ごなしに怒鳴るということはない」のだそうです。(陳健一『陳家の秘伝』[日経プレミアシリーズ])
鈴木義幸『コーチングのプロが教える 「ほめる」技術』(日本実業出版社) |
コーチングの指導者である鈴木義幸氏は、「ほめることは技術」だと言っています。
何気なく人がほめられるかというと、そんなことはないのです。相手をよく見て、相手が日々どんなことを思っているのかを洞察して、どんな言葉を投げかけられたいのかを熟慮して、初めて「ほめ言葉」は発せられるべきものなのだそうです。
ただただ、「すごい!」「すばらしい!」と美辞麗句を投げかけるだけではダメで、相手が心の底で、他人から聞きたいと思っている言葉を伝えて初めて、「ほめる」という行為は完結するのだそうです。
「期待された人ほど、伸びる」ということを示した、ローゼンタールという心理学者がいました。
彼は、ある学校の小学生に知能テストを行い、その中から無作為に数名の生徒を選んで、「この子たちは伸びる」という偽りの情報を教師たちに伝えました。すると、それを信じた教師たちは、期待をこめてその子たちの指導にあたると、本当にその子たちの成績がぐんぐん伸びたのだそうです。
このような、「期待された人ほど、期待された通りの成果を出せる」という説を、ピグマリオン効果と呼ぶことがあります。このピグマリオンという名前は、ギリシャ神話の寓話に由来しています。
ピグマリオンは、キプロスの王でした。彼は彫刻家で、ある日、自分が作った理想的な女性の彫像にすっかり惚れ込んでしまいます。そして「こんな女性を妻にできたらいいのに…」と来る日も来る日も彫像をながめては願っていました。この熱心なピグマリオンの姿を見ていた、愛と美の女神アフロディテが、彫像を本物の女性に変え、ピグマリオンの願いをかなえました。
鮮やかに挿管を決めて、気管チューブの位置を 聴診で確認するNs先生。すばらしい! |