このように縦にダルマを並べると、背の高さが比べにくいですね。このダルマを同じ平面にのせて、横に並べてみると、背の高さが比べやすくなります。
ダルマを横に並べると背の順は一目瞭然 |
さて、12誘導心電図の胸部誘導(V1~V6)は、記録紙の上では、たいてい縦に並べられています。京都市立病院の検査室での12誘導心電図も、胸部誘導は縦並びです。
右欄の胸部誘導(V1〜V6)は縦に並べられています。 |
学生時代に、和田敬先生が講義する「心電図の読み方講座」のビデオを見ました。その中で、和田先生は「胸部誘導は縦に並べるのではなく、横に並べて読みなさい」と強調されていました。
正常な心電図の胸部誘導では、V1からV6を横に並べると、r波は波高がだんだん高くなり、s波は波の深さがだんだん浅くなっています。
正常な胸部誘導。V1からV6にかけて、r波はだんだん高く、 s波はだんだん浅くなっています。 |
胸部誘導の電極を貼る位置をみると、V1、V2は、心臓の右室側から心室の興奮を見ています。右室側から見ると、左室の興奮は遠ざかっていくように見えるので、負の波、つまりs波が深くなります。逆に、V5、V6は、心臓の左室側からの興奮を見ています。こちらから見ると、左室の興奮は近づいてくるように見えるので、正の波、つまりr波が高くなるのです。
V3、V4あたりは、ちょうど移行帯と呼ばれています。
たとえば、高血圧症で左室の負担が大きくなっていると、V1からV6にかけて、ずっと左室をみているような波形になって、移行帯がなくなったような印象になる場合があります。
また、小児のようにもともと左室に比べて右室の負担が相対的に大きい心電図や右室肥大の心電図では、V1からr波の波高が高くなっています。
和田敬『新しい心電図とその解説』(南山堂)からの図を引用します。
上:左室負担の心電図胸部誘導。移行帯がなく、急変しています。 下:右室負担の心電図胸部誘導。V1のr波が高く、V5、V6でも r波あまり高くなっていません。 |
ダルマの背比べのように、横に並べてみると見えてくるものもあるようですね。
今日のお土産
ナースのSkさんとMbさんが北海道旅行に出かけました。札幌では、偶然二人とも以前から宿泊したいっ!と思っていたホテルの予約がとれて、めでたく念願がかなったそうです。
ありがとうございました。