近年は、医療の世界においてもチームワーク(チーム医療)が強調されています。そもそも、私たちに要求されているチームワークとはどういうものなのでしょうか?
平尾誠二さんは、日本で言われているチームワークとは、「協調性や、画一性、同一性といったものを『チームワークのよさ』と言いかえていただけだったのではないか」と疑問を投げかけています。(平尾誠二『人は誰もがリーダーである』[PHP新書]2006年)
日本人のいうチームワークとは「パズル」のようなもので、一定のフレームの中にひとつひとつのパーツ=個人をすき間なく当てはめていく。適合しないパーツは削って型に合わせるか、捨ててしまう。そこではみんなが同じ形になることを強制され、突出することは許されない。言うなれば、「パズル型チームワーク」なのではないか、と分析しています。
しかし、組織やチームのおもしろさというのは、個人ではできないことでも、全員の力を集約させれば実現できることにあるはずです。そのために要求されるチームワークとは、先に述べたような「パズル型チームワーク」ではなくて、「積み木型チームワーク」ではないだろうか、と平尾さんは問題提議しています。
できあがった絵の完成度は高くても パズルのピースは融通がきかない |
「積み木型チームワーク」とは、「いろいろなパーツを矯める(形の悪いものを直して、かっこうをよくする)ことなく、それぞれの形を残しながら、多少の出っ張りは気にせずに積み上げていくという考え方」です。
問題は、個性を尊重して積み木を積み上げたときにできてくる、すき間の埋め方です。このすき間を埋めなければまとまりを欠き、チーム全体として力を出し切れなくなってしまいます。
そのすき間を埋めるものは、「アクティブコミットメント」(自発的連携)だと平尾さんは強調しています。つまり、自ら進んでチームにコミットしようという意欲、チームとしてまとまろうとする気持ちが大事なのです。周りから強制されて、すき間を埋めるのではなく、個々の内側からにじみ出る内発的動機にもとづいてすき間を埋めなければ、真のチームワークとは言えないのです。
すき間を誰が埋めるのか それが問題だ |
ある意味、周りからあれしろこれしろと強制されて行動する方が楽かも知れません。自発的に行動するためには、自分の頭で考え、ときに悩まねばなりませんから。
でも、いつも人から指図されなければ動けない医者は、プロフェッショナルからはほど遠いでしょうね。