聖路加国際病院(旧病棟) |
日野原重明先生からいただいた色紙を 表紙にした「院内ひろば」第27号 |
最初は、日野原重明先生からいただいた色紙のお礼に訪問しました。この色紙は、当時編集を手がけていた、京都市立病院の院内広報誌『院内ひろば』の表紙を飾るために、当時の院長だった日野原先生からいただいたものでした。
10月末に訪れたとき、聖路加国際病院内の芝生では、 スケッチをする人びとが見られました |
二度目は、2011年に東京で開催された、第50回全国自治体病院学会に参加したついでにぶらりと訪ねてゆきました。
この聖路加国際病院には、以前から全国各地から研修医・専攻医が集まって来ています。仕事が楽なわけではなく、むしろ多忙であるにもかかわらずです。かと言って、決して給与待遇がいいわけでもありません。特定の大学の医局とつながりがあるわけでもなく、毎日築地市場のネタで寿司が食べられるわけでもありません。
ただ、「よい医療の提供を志す多くの人が集まってきて」いる、と福井次矢院長は、『なぜ聖路加に人が集まるのか』(光文社)の中で述べています。そして、「聖路加を出て、いったん各地にちらばった医師たちも、あるとき再び聖路加に戻ってきて勤めたり、外にいながら自分の後輩や教え子に聖路加での研修を勧めたりすることで、聖路加には病院を中心とした優れた人材のネットワークと人の循環が生まれて」いるのです。
人が集まれば、以前から聖路加で行われている、いわゆる「屋根瓦方式」と呼ばれる研修システムも可能になってきます。
これは、一年目のジュニアレジデントを二、三年目の先輩研修医が教え、二、三年目の研修医を四、五年目の研修医が教え、四、五年目の研修医をさらに上の先輩医師が教えるという具合に、すぐ上の先輩が後輩を教えていくシステムです。
この「屋根瓦方式」によれば、「先輩研修医は少し前まで自分がやっていたことを後輩に教えればいいので、何をどう伝えれば後輩にとって現場で最も役に立つかがわかります。また、先輩は後輩に教えることによって、知識や技術を確実に自分のものにすることができ」るのです。
この「屋根瓦方式」の研修システムを実現するには、スタッフの数が充足していなければなりません。京都市立病院麻酔科では、昨年度までは、一年目の研修医であっても「戦力」として働いてもらわざるをえない局面があって、彼らにストレスを与えていたことは否めないと思います。しかし、今年度は、全症例ではありませんが「屋根瓦方式」的研修システムが実現できているようです。一歩前進ですね。
ある日の緊急帝王切開 この室には麻酔科医が5人駆けつけました これなら屋根瓦方式ができるかも… |