待機の土曜日、午前中のんびり過ごしていたら、雨音?よりもパラパラといつもよりも硬い音質の音がしたので、外を見てみると、何とヒョウが降っていました。
さて、今日は 映画『AWAKE アウェイク』のお話。
この映画、全身麻酔中の「術中覚醒」をベースに展開するサスペンス・スリラーです。映画が公開された翌年、2008 年に京都で開かれた第28回日本臨床麻酔学会で特別に上映されました。会場は超満員になったと聞いています。
主役は、『スター・ウォーズ』で、後のダースベーダ、アナキン・スカイウォーカーを演じたヘイデン・クリステンセン。サスペンスなので、ストーリーを詳しく語るとネタばらしになるので、DVDのジャケットにある解説から引用すると、こんなお話です。
「亡き父から莫大な遺産を受け継いだ、青年実業家クレイトン(ヘイデン・クリステンセン)。重い心臓病を患っている彼は、心臓移植手術に踏み切る。しかし不運にも”術中覚醒”の状態に陥った彼は、自分自身の殺害計画を耳にしてしまうのだった」
この映画の冒頭、文字だけで”術中覚醒”についての解説が流れます。
毎年2100万人以上が全身麻酔を受ける。
大半は何事もなく眠りにつき
覚醒後何の記憶も残らない
だが、不幸にも約3万人が
眠りにつくことができず
”術中覚醒”と言われる状態(ANESTHESIA AWARENESS)になるという
肉体は完全にマヒして叫ぶこともできない
でも、彼らは目覚めているのだ(They are awake)
映画では、幽体離脱のような映像で”術中覚醒”の様子が描かれていましたが、実際の”術中覚醒”は、「術者の声が聞こえた」、「痛みを感じた」、「メスが入る感覚が分かった」などと表現されます。そして、その感覚は、恐怖を伴うことがあるので、海外ではしばしば訴訟の対象となっているようです。
先日、郡山市で開催された第32回日本臨床麻酔学会では、和歌山大の西川光一先生が「全身麻酔中の覚醒、夢、そして記憶」と題する講演で、「全身麻酔中に夢を見たと、術後に訴える患者の割合は、何と26%にものぼっている」と話されていていました。これは、”術中覚醒”ではないのですが、全身麻酔中であっても、記憶に残る意識が患者に残っているのだ、という意味合いで衝撃的でした。
いつもは、患者さんに「全身麻酔では意識がなくなるので、何も聞こえないし、目を開けようとしても開けられませんよ」と説明していますが、今後は「でも、夢はみるかもしれません」とつけ加えた方がよさそうですね。