Guedelの全身麻酔の深度別臨床兆候 |
Guedelは、エーテル麻酔の麻酔深度を無痛期、興奮期、手術期、延髄麻痺期という4期に分け、さらに第3期(手術期)を第1相から第4相に分けました。このときの指標とされたのが瞳つまり瞳孔でした。
瞳孔(pupil)の縮瞳、散瞳の程度、眼球運動、結膜反射、対光反射など眼の反射などを用いて細かく分類しました。
しかし、このGuedelの麻酔深度表は、新しい吸入麻酔薬や静脈麻酔薬では当てはまらないこともあり、現在ではほとんど使われていません。
しかしながら、麻酔中の瞳はしばしば麻酔科医を悩ますものです。
大量出血などで低血圧が続いたり、心停止を起こしたりすると、瞳孔が散大していないか、対光反射があるかどうか、などがとても気になります。
瞳孔は、通常大きさに左右差はないのですが、ときとして左右の瞳孔の大きさに差が出る(瞳孔不同)ことがあります。一般に瞳孔不同は、脳出血や脳梗塞などでも起こるとされています。
麻酔導入時には、挿管刺激によって、ときおり血圧が上昇することがあります。麻酔導入後に瞳孔を確認しますが、導入時に血圧が上昇した症例で瞳孔不同を発見すると、脳出血でも起こったのではないかとギョッとします。
Adie瞳孔:瞳孔に左右差があります |
だまし絵で有名なオランダの画家M.C.エッシャーの絵に「Eye」という絵があります。この絵では、瞳の中に、何とドクロが描かれています。
麻酔導入後に、こんな瞳を見たら、さすがにドキッとするでしょうね。
M.C.エッシャー「眼」 瞳の中にドクロが映っています |