家族を養うため、ローンを返すため、海外旅行を楽しむための資金を得るため、衣食住のため…。
その理由はさまざまでしょう。
日本理化学工業という会社は、主にチョークを作っている会社ですが、この会社の障害者雇用率は7割に及んでいます。日本理化学工業の会長、大山泰弘さんは、『働く幸せ』[WAVE出版]の中で、障害者を雇用することになった経緯について書いています。障害者を雇用して会社を経営している内に、大山さんは、障害者から「働く」ことの意味を教わったと述べています。
導師は人間の究極の幸せは、
人に愛されること、
人にほめられること、
人の役に立つこと、
人から必要とされること、
の4つと言われました。
働くことによって愛以外の3つの幸せは得られるのだ。
私はその愛までも得られると思う。
これは、日本理化学工業の工場敷地内に建てられた「働く幸せの像」の台座に刻まれた言葉なのだそうです。
日本理化学工業にある 働く幸せの像 |
この4つの幸せは、よく見ると階層があるように思われます。
一番下の土台にあるのが、「人から必要とされること」です。そして、その上に「人の役に立つこと」が乗っかり、さらに「人にほめられること」が乗り、最上階に「人から愛されること」が乗るのではないでしょうか?
クールな企業経営者目線で見ると、その人が愛されているからといって、必ずしもその人が必要とされているわけではありませんし、役に立つとも限りません。企業経営者の立場に立てば、企業の目的を追求するために、人材を求めています。企業は、企業の理念、ヴィジョンを理解して共に働いてくれる人材がほしいのです。だから、やはり、その人自身が「人から必要とされているかどうか」が最初に来るのです。
つまり、私たちの働く目的が何であろうとも、企業経営者は、そんな事情には、まったく関心はないのです。
私には、まだ住宅ローンも自動車のローンも残っているので、給料を上げて下さいなどと頭を下げたところで、その人の事情は、給料の査定にはまったく関係ありません。ましてや、海外旅行に行く資金を作りたいからここで働かせて下さい、と頭を下げても誰も雇ってはくれないでしょう。
どこかで働こうとするのならば、自分がその企業に必要とされる人材であることを示すために、自分はこれこれのことで貴社に貢献ができます、と示すことがまず第一なのです。そうすれば、自分がやっていることがお役に立てて、ほめられて、最後に、職場になくてはならない愛すべき存在となれるのではないでしょうか?そうすれば、働く幸せも感じられるようになるのではないでしょうか?
マザー・テレサは、「この世の最大の不幸は、貧しさや病ではありません。だれからも自分は必要とされていないと感じることです。」と語りました。
この言葉は、裏返せば、「だれからも(だれかからでも可)必要とされるような人物になれば、幸せになれる」ということなのかもしれませんね。