ところで、京都市立病院では、大学病院に比べると脊椎麻酔症例が多いようです。
京都市立病院手術室では、保冷剤は必需品です |
脊椎麻酔のレベルを調べるときには、ケーキなどに添えられる保冷剤を用いて、いわゆるコールド・サインによって評価をしています。この方法は、コミュニケーションが可能な患者さんには有効ですが、難聴、意識障害、知的障害などがあって、対話が困難な患者さんに対しては、分かりづらいときもあります。
でも、こんなときに、脊麻のレベルを評価するウラ技があるのです。
今から20年以上前の『麻酔』に掲載された論文に、山城広明らによる「応答のできない患者の硬膜外麻酔および脊椎麻酔における麻酔レベルの決定法 —虫眼鏡か指か—」[麻酔 39(7) : pp 924 - 927. (1990)]という思わせぶりな題の論文が載ったことがあります。
皮膚を虫眼鏡で観察したところ、ブロックされた部分では、①皮溝が広く浅くなっており、②麻酔効果のある部位は産毛の列が乱れていたのだそうです。このため、触診すると、麻酔効果のある部位の皮膚は抵抗が少なくさらさらとしていて、非ブロック部位は指が張り付くような感じがします。そして、この皮膚の変化の境目は、無痛部位よりも1〜2分節広く、冷覚の遮断部位とほぼ一致している、という内容でした。
斜めから光を当てて写真を撮ったブロックの境目。 右側がブロックの効果の出たところ。左側に比較して 皮溝が浅くなり斜めから入れた光が皮溝の底まで達している。 ブロックの効果が出ていない皮溝の底は黒い影になっている。 (『麻酔』の前掲論文より) |
脊麻するなら、もっと 背中を丸くしなよ、俺みたいにさ |
わしの脱腸、脊麻で治せるやろか? |