2013年12月9日月曜日

京都市立病院麻酔科の新しい潮流

 いろんな経験をもった麻酔科医が集まるのは、経験の普及に役だつものです。

 京都市立病院麻酔科では、エコーを導入してまだ二年目なので、全員がエコーを使いこなせるところまでは到達していません。しかし、前の職場でエコーを使いこなしてきた先生方が、エコーの手ほどきをしてくださり、次第にエコーガイド下神経ブロックが広がってきました。

斜角筋間ブロック中のTs先生…
ではなく、これは胃管挿入中でした(^^;)

 Ts先生は、エコーガイド下神経ブロックに大きな関心をもっておられ、今日は、Hn先生とともに斜角筋間ブロックに挑戦されました。
















腋窩腕神経叢ブロック中のSz先生


 また、尺骨神経移行術では、Sz先生が腋窩で腕神経叢ブロックをして下さいました。
 患者さんは、歯が弱く、全麻で挿管するのがむずかしかったのですが、神経ブロックと鎮静で、無事に手術を終えることができました。










 また、エコーばかりでなく、他の経験の普及も行われています。
 Ak先生は、先日、腹臥位でラリンジアルマスクを用いた全麻を経験されました。患者さんに自ら腹臥位になってもらい、腹臥位のままマスクで換気をして導入、その体位でラリンジアルマスクを挿入し、術後は、腹臥位のまま覚醒させて抜管する、という方法で無事に手術を終えました。
 この方法だと、体位変換がいらず(したがってスタッフの労力が省けて、患者さんの頸椎損傷の不安もなくなり)、患者さんがいちばん楽なポジショニングをとれる等のメリットがあります。
腹臥位でマスク換気中のAk先生
この体位のままラリンジアルマスクを挿入します

 京都市立病院麻酔科の、こうした新しい潮流は、麻酔科の発展にとっては好もしいものです。
 そこで、今日の言葉は、GEの元CEOであるジャック・ウェルチの言葉から引用します。言葉の中の「ビジネス」を「医療」に置きかえれば、そのまま私たちの職場にも当てはまるのではないでしょうか?

 「諸君に理解してほしいのは、ビジネスは試行錯誤の連続であることだ。ビジネスは科学なんかじゃない。ミスはつき物だ。ひたすらボールを前に蹴り進むようなもので、魔法の公式を持つものなど一人もいない。
 しいて公式をあげるなら、すべての人間をゲームに参加させることがそれだ。一人として傍観者を出してはならない。いつもそこに気を配り、誰もがゲームに参加して、一人でも多くの者が勝利の喜びを味わえるようにすべきなのだ」

「新しいことを学ぼうとせず、未来でなく過去ばかりを語り始めたときが引退の潮時だろう」

スチュアート・クレイナー『ウェルチ 勝者の哲学 創造的に破壊せよ』[PHP研究所]