2013年12月17日火曜日

悲惨さも 笑いとばせる ゆとりかな

 まだ寝てる 帰ってみれば もう寝てる

 サラリーマン川柳にあった作品です。
 忙しい医師の生活のように、朝早く、家族が寝ている内に家を出て、残業をして遅く帰ると、家族がもう寝ているという悲惨さも、川柳にすると軽くなる気がします。



 高齢者を対象にした川柳には、シルバー川柳というのがありますが、こちらの作品を見ると、病気や加齢に関する題材が目立ちます。

 改札を 通れずよく見りゃ 診察券

 目には蚊を 耳には蝉を 飼っている

 無農薬 こだわりながら 薬漬け

 妻旅行 おれは入院 ねこホテル

 恋かなと 思っていたら 不整脈

 手をつなぐ 昔はデート 今介護



 アルフォンス・デーケンさんは、ユーモアに関するドイツの有名な定義を紹介しています。それは、「ユーモアとは、にもかかわらず笑うことである」というもの。



 たとえば、老いや病のように、「今自分は非常につらく苦しい状態にある。だが、それにもかかわらず、相手に少しでも喜んでもらおうと、ほほえみかける優しい心づかい、これが、愛と思いやりに満ちたユーモアの原点だという意味」なのだそうです。「悩みや苦しみのさなかにあってもそれに溺れず、相手のためにやさしさを発揮するのが真のユーモア精神ではなかろうか」とデーケンさんは言っています。(アルフォンス・デーケン『ユーモアは老いと死の妙薬(死生学のすすめ)』[講談社]より








 死ぬ直前の人を少しでも笑わせ、微笑ませることができたら素晴らしいだろうな、と思うのですが…このような考え方はひんしゅくを買うでしょうか?