これまで、病棟として使われていた本館の5階の西部分を改装して、東西に細長い形の医局が新しくできました。
新しい「医局」。左手が医師の個人机 |
「医局」内のコンピュータ室 |
病院はいろいろな機能を備えているので、建築として見ても複雑な構成になっています。
病棟は、患者さんが「生活」し、年中昼夜絶え間なく活動しているホテルのような所です。
外来部は朝から夕方まで患者さんが訪れては帰って行く部門で、さながらショッピングモールのようです。救急部などは、時間外の患者さんも受け容れるので、こちらはコンビニでしょうか。
診療部門には、検査科・放射線科・リハビリなどが含まれますが、手術室はここに分類されます。
供給部門は、”もの”を供給をする場所で、薬品・滅菌材料・輸血部・食事・リネン類、その他の物品などを病院中に供給します。これらの物品は、昨今、外注化されたり、SPD(物品管理)センターが請け負ったりする傾向にあります。
最後に、管理部があります。これは、病院全体の管理・運営・維持をつかさどる部門です。事務や医局がここに含まれますが、売店・喫茶室・職員と見舞客のための厚生関係諸室もここに入ります。(『新建築学大系 31 病院の設計』[彰国社刊]より)
この「医局」という呼び方は、大学医学部の医局と同じような響きがありますが、一般病院における医局というのは、大学医局とは異なり、あらゆる科の医師が集まる大部屋なのです。
この一般病院における「医局」という呼び方に対して、建築家の久保田秀男氏は、異を唱えています。
「最近の、医師個人を評価し選ぶという時代の流れの中、一つの病院でも医師をできるだけ幅広い大学から受け入れる方向にあることからも、ハードの設計として、大学医局別に部屋をつくるわけにはいかない。」
そして、「医師が大学の医局から早く卒業して、病院への帰属意識を向上させるためにも、とりあえず、『医局』を『医師室』と呼びませんか」と提案をしています。(久保田秀男『病院の改築と運営改善へのヒント』[じほう]より)