2013年9月29日日曜日

仕事で病気にならないために

 医師は、仕事の負荷は大きく、そこそこ裁量権はありますが、努力—報酬の不均衡度合いをみると、一番大きいそうです。医師は、社会的水準からみれば高収入ですが、その報酬に対する満足度は意外と低いようです。

 吉中丈志『仕事と生活習慣病』(幻冬舎 経営者新書)の中で紹介されていたデータによれば、最もストレスを感じるのは、仕事の負荷が高いにもかかわらず、裁量度の低い職種なのだそうです。つまり、要求されているハードルは高いけれども、思いどおりに仕事ができず、やらされている感覚だけが蓄積されるからです。逆に、もっともストレスがたまらないのが、負荷が低く裁量度の高い場合です。自分の思うように仕事を進められる上に、要求されるレベルが高くないような職種ですが、今どきこんな職場はありませんね。
 負荷が低くて、裁量度も低い、という仕事は学生アルバイトのようなものでしょうか。最後に、負荷は高いけれど、裁量度も高い仕事は、プロフェッショナルなどの専門職などが当てはまります。この場合は、求められるレベルは高く仕事量も多いものの、自分の力を思うように発揮できて、やりがいもあり、またプライドをもって取り組めます。
 最後の、仕事量は多いけれども、専門職なので裁量度も高いという職種の中に、医師は分類されます。(仕事はきついけれども、自分の能力を発揮できるやりがいのある職種ということですね)
 ところが、ワーク・セルフ・バランス調査を見ると、とりわけ男性医師は最もネガティブに感じていることが示されているのだそうです。これは、本来の仕事以外に、医療事故のリスクや患者からのクレームへの対応などの心理的なプレッシャーがのしかかっているからなのだそうです。

 一方、同じ医療職の中で、看護師という職種はどうでしょうか?看護師の仕事も、仕事で要求されているハードルは、けっこう高いでしょう。その割には、医師ほど裁量権を与えられていないのではないでしょうか?すると、これは、けっこうストレスフルな職種にあたりますね。

 『仕事と生活習慣病』の「病気にならず、健康で働き続けるために」という章の冒頭では、「夜間勤務は避ける」べきだと述べられています。しかし、現実問題として、看護職から夜勤をなくすことは不可能です。
 現行では、京都市立病院の看護師の勤務シフトは三交代制になっています。深夜入りの場合は、日勤を終えていったん帰宅し、仮眠をとって深夜勤、深夜明けは休みとなって、翌日は準夜勤、そして次の日が非番で、翌々日が日勤というシフトです。
 ところが、最近は、人のサーカディアン・リズムが25時間で、毎日少しずつ遅れてくることから、いわゆる正循環というシフトにする方が疲れが減ると言われています。正循環とは、日勤の翌日は準夜勤、準夜の翌日は丸一日休んだ後に深夜入り、深夜明けの翌日は休みで、翌々日から日勤、というシフトです。
青が従来のシフト。赤が正循環看護のシフト。

 日本看護協会では、看護師のシフトをこの正循環にするように勧めています。(看護職の夜勤・交代制勤務に関するガイドライン)吉中丈志先生が院長をされている京都民医連中央病院では、半年間の議論を経て、2012年6月から正循環勤務を全面的に導入したそうです。結果、看護師からは「夜勤明けが楽になった」「深夜入りのスタッフを早く帰さなくていいので日勤後の残業が減った」といったプラスの評価が出ているそうです。
 慣れ親しんだシフトを変えるときには必ず抵抗があるものですが、健康で働き続けられる職場という視点で看護シフトを見直すことが必要かもしれませんね。