チップ・ハース+ダン・ハースによる『アイデアのちから』[日経BP社]にこんな記述があります。
アメリカ、ノースカロライナ州のダンは、人口が一万四千人の小さな町で、ブルーカラー労働者が多い町です。この町の住民のほとんどがデイリー・レコードという地方紙を読んでいるのですが、同紙の購読者数は、町の人口を上回っているのだそうです。ダンにおけるデイリー・レコード紙の普及率は112%。これはアメリカのどの新聞よりも高い普及率です。
普及率が100%以上であるということは、(1)ダンの住民以外、おそらく仕事でダンに通う人たちが新聞を買っているか(2)一部の世帯、たぶん仲良く一緒に読めない夫婦が二部以上購読しているかのどちらかです。
ダンにもニュース情報を得る手段は、ほかにもUSAトゥデー紙、CNN、インターネット、その他いくらでもあります。なのになぜ、デイリー・レコード紙はこれほど人気があるのでしょうか?
デイリー・レコードは1950年に、フーバー・アダムズによって設立されました。このアダムズは徹底して「地域重視」という新聞社経営の核となる部分を見出しました。デイリー・レコードの成功の理由を聞かれたアダムズは、こう答えたそうです。
「理由は三つ。人名、人名、とにかく人名だ」
人名は役だつだけでなく、アダムズの考えではコスト削減より優先されるべきものなのだそうです。また、人名はうまい文章よりも、また隣町に落ちた核爆弾の報道よりも優先される、のだそうです。
京都市立病院麻酔科ブログというのも、規模から言うと地方紙以下のローカルなものです。せいぜい、病院内の職員か、その関係者くらいしか見ていないと思うのです。すると、その読者を増やすためには、フーバー・アダムズと同様に「地域重視」という考えに徹する、具体的には京都市立病院の誰がいつ何をしたか、という記事を充実させればよい、ということになるはずなのです。
そこで、ここからが実験です。個人に焦点を当ててみます。プライバシーの都合上、氏名は書けませんが、新年の仕事始めに、できるだけ研修医の先生方の姿を追ってみました。
さて、これでブログを見る数(ページビュー)は増えるかしら?
麻酔科ローテ1日目から カメラを意識するMn先生 |
1月からは、1年目研修医のMn先生が麻酔科ローテに来られます。これまでは、ふた月目の麻酔科ローテは、救急と一週間交代になっていましたが、今年からは、麻酔科ローテを6週間連続とするようにしました。この方が、研修医の先生もわれわれも仕事がしやすいと思われます。Mn先生は、今日はさっそく臨時手術の麻酔を担当され、脊椎麻酔を無事にこなされました。
クールなTd先生も麻酔科に馴染んで こられたようですね。思わずピース |
1年目の研修医の先生は、12月から引き続き、Td先生が麻酔科研修をされます。Td先生は千葉県の出身で、この正月は実家に帰ってディズニーランドで英気を養われた、かどうかは確認していません。
2年目の研修医の先生は、Md先生がほぼ一年ぶりに麻酔科をローテされます。Md先生は、神経内科での後期研修を決めておられます。今日は、ダ・ヴィンチ手術の途中から、外科の臨時手術の麻酔を担当していただき、昼ご飯をとる間もなく、活躍していただきました。
「Md先生、髪の毛出てますよ」1年目のMn先生に 指導される(?)2年目Md先生 |
同じく2年目の研修医のKm先生は、この4月から麻酔科での後期研修をされる予定になっていますが、選択で今月も麻酔科研修をされます。今日は、Ho先生とともに外科手術の麻酔を担当されました。
硬膜外穿刺にチャレンジ中の2年目研修医のKm先生 |
1年目のYy先生は、この1月から放射線科のローテになります。放射線科では、レントゲンフィルムの読影が主な仕事ですが、造影検査のときには点滴の確保もしなければなりません。
放射線科での研修を終えて、当直に入るYy先生 |
今日は当直なので、夕方は救急室で仕事をされていました。ちょうど、救急科ローテ中のHn先生とHs先生が仕事を終えて帰るのと交代で、救急受診患者さんの採血をされていました。
同僚のHn先生(右)、Hs先生(中央)とともに。 針ポイバケツと駆血帯を手に、採血に向かうYy先生。 |
え?何でYy先生が登場するのか、ですって?
実は、Yy先生のお母さまは、このブログの熱心な読者なのだそうです。聞けば、娘さんよりも早くブログを読んでおられて、「ちょっと、あんた今誰々さんが麻酔科回ってるんやて」と、娘さんにメールをされることもあったのだとか…。
採血後、オーダーを入力しています。 もう一人でできるもん! |