2013年11月23日土曜日

クセになると苦にならない

 少し寝坊をしても、日の出前のトワイライトを見ることのできる季節になってきました。


 イギリスの詩人ジョン・ドライデンの言葉にこんなのがあるそうです。

 「まず、人間が習慣をつくり、次に習慣が人間をつくる。
  We first make our habits, and then our habits make us.」

 問題は、ある事が習慣化できるかどうか、です。
 遅刻をする、手抜きする、怠る、間食をする等々、悪いことなら、知らぬ間に簡単に習慣化しそうですが、毎日洋書を読む、風呂場やトイレの掃除をする、職場で毎朝あいさつをするなど、善い事となると、なかなか習慣として定着させるのは、むずかしいのではないでしょうか?



 レオ・バボータ『減らす技術』(ディスカバー・トゥエンティワン)によれば、物事を習慣化するには、一度にやろうとすることを制限して、ひとつだけにして、それに集中して習慣化していくのがよい、と勧めています。バボータが紹介する「習慣化チャレンジのルール」は6つあります。

ルール① 一度にひとつだけ(彼の経験では、マルチチャレンジの成功率は0%、シングルチャレンジなら50〜80%だそうです)
ルール② 達成しやすいゴールを選ぶ(無理なくどころか、「これならできる」と思うものよりさらに楽そうなものを選ぶのがよいのだそうです)
ルール③ 目に見えるゴールを選ぶ(うまくいったかどうか、毎日はっきりとわかるものを選ぶとよいようです)
ルール④ いつも同じ時間に行う(ランダムな時間にやるよりもずっと習慣化しやすいのだそうです)
ルール⑤ 毎日報告する(2〜3日おきの報告より、毎日報告する方が成功率はあがるそうです)
ルール⑥ 前向きな気持ちを忘れずに!(ときには壁にぶつかることもある。しかし「そんなものだ」とわきまえて、こだわり過ぎずに前進だ!)

 同じ習慣化するのであれば、善い習慣にしたいものですね。善い習慣というのは、最初は続けることが苦痛かもしれません。でも、続けて習慣化していく内に、一日でも抜けると、かえって落ちつかなくなってくるようです。

 たとえば、アレクサンダー・ロックハート『自分を磨く方法』(ディスカバー・トゥエンティワン)の中に紹介されていた、「二人の木こりの寓話」を見てみましょう。 

 一番目の木こりは慢心の力をこめて木を切った。休憩もとらず、一日中木を切り続けた。誰よりも早く起き出して働き、誰よりも遅くまで働き続けた。
 しかし、一日が終わると、もう一人の木こりの方が沢山の木を切っていた。彼は、一番目の木こりほど懸命に作業をしていたわけではないし、休憩を何度もとっていた。
 一番目の木こりは、一番沢山の木を切った木こりに歩み寄ってたずねた。「君はどうやってぼくよりも多くの木を切ったんだい?ぼくは朝から晩までいちばん長く木を切っていたのに、どうして君の方が、ぼくより沢山の木を切れたのか、よかったら、秘訣を教えてくれないかい?」
 もう一人の木こりはちょっと考えてから言った。「成功の秘訣なんてとくにないけど、これだけは言える。どれだけ作業が忙しくても、ぼくは時間をとって斧を研ぐようにしているんだ。斧がよく切れれば、より少しの労力でより沢山の木を切ることができるからね」
 この寓話で言うところの「斧を研ぐ」という作業は、木こりにとって、すでに習慣化していたのでしょう。だから、彼は、これを「秘訣」だとは考えていなかったのかもしれません。この寓話の「斧を研ぐ」という行為を自己を高める修行あるいは勉学と言いかえれば、自己研鑽を習慣化する、ということになりそうです。

 レオ・バボータは、「一度にひとつ」のゴールだけに集中する方法を実行して、二年で人生が一変したのだそうです。二年と言えば、初期臨床研修期間も二年ですね。
 本質的なことを見極め、その一点に集中して続けるのがポイントです。「数や量を『増やすこと』を追いかけるのはもうやめて、制限を設ける。これがすべてのカギとなる、とバボータは強調していました。