2013年5月4日土曜日

わたしたちの団子は串にささっているか?

入場するための行列が、
動物園北側の歩道まで続いていました
今日は上空にマイナス24℃の寒気があったため、時おりヒンヤリとした空気の流れる天候のもと、京都市動物園に出かけました。







2013年4月にオープンした
「アフリカの草原」と「ひかり・みず・みどりの熱帯博物館」
のパンフレット




 「アフリカの草原」と「ひかり・みず・みどりの熱帯博物館」が、この四月に新しくオープンし、大勢の家族連れでにぎわっていました。












 「アフリカの草原」では、高い遊歩道からキリンを見下ろすことができ、キリンが木の葉を食む長い舌を見ることができました。
食事の途中、思わずカメラ目線になった
アミメキリンくん
「ひかり・みず・みどりの熱帯博物館」では、ナマケモノとカピバラの共生展示が売りになる予定でしたが、残念ながら展示直前にナマケモノが急死したために、カピバラだけが隅っこでちいさくなっていました。
仲間になるはずのナマケモノがおらず、
ひとりふて寝するカピバラくん
ちょうど、インドクジャクが羽を広げる場面に遭遇したのは幸運でした。
羽根を広げて、雌にではなく客に美しさを誇示する
インドクジャクくん

 平成28年度の完成を目処に計画されている京都市動物園の改造計画は、先の旭山動物園での経験に影響されているところも多いように思われました。
旭山動物園再生の原動力となった「14枚のスケッチ」のひとつ
「ととりの村」が本の装丁に使われています
旭山動物園は、廃園間際まで追いこまれる状況から、今や上野動物園と肩を並べる入園者数を誇る動物園にまで変貌をとげました。この旭山動物園の発展の「ナゾ」を、遠藤功氏は『未来のスケッチ』(あさ出版)の中で解明しています。
 遠藤氏が現園長の板東元氏へのインタビューの中で、人づくりについて尋ねたときに、次のような答えが返ってきたそうです。

 「うちは『串団子』なんです。団子ひとつずつを見れば、大きい、小さいといろいろある。大切なのは、それぞれの団子が一本の『軸』に刺さっていること。『軸』に刺さってさえいれば、大きい、小さいは個性であり、その個性を活かせばいい」

 では、この旭山動物園の『軸』とは何でしょうか?それは、旭山動物園自身が企画制作した『旭山動物園の動物図録』の中の理念に書かれています。

 「当園では、ありのままの動物たちの生活や行動、しぐさの中に『すごさ、美しさ、尊さ』を見つけ『たくさんの命あふれる空間の居心地の良さ』を感じて欲しいと考えています。ペット種のように触れ合う、可愛がる、芸をさせる、立つレッサーパンダのような擬人的なかわいらしいポーズに価値をつけるといった切り口から野生種への興味や関心をもってもらうべきではないと考えています」

今年の阪神タイガースの活躍を期待するアムールトラくん
遠藤氏は、この強い主張、尖った意思表示こそが、旭山動物園が旭山動物園たりえる存在理由だと断言しています。

 わたしたちの病院組織をふり返ってみると、病院とはさまざまな大きさの団子の集まりと言えないでしょうか?
 大きさばかりでなく、色や形までさまざまのようです。これらのさまざまな団子がひとつの皿にもられているだけでは、ただバラバラの烏合の衆に過ぎません。これらのさまざまな団子がひとつの串に貫かれて初めて、京都市立病院という盤石のまとまりができあがるのではないでしょうか?



 職員の誰もがみな、自分たちの存在意義を理解していて、
一人ひとりは、自らの個性を発揮して自由自在に仕事をしている。
 そして、そこに相互の信頼と尊敬があれば、申し分ありませんね。
東山通りから、琵琶湖疎水と東山を望む
動物園は右手奥の方向になります