2013年8月22日木曜日

麻酔深度の見える化

 「見える化」という言葉を普及させたのは、おそらく早稲田大学大学院教授の遠藤功氏でしょう。

 遠藤功氏は、2005年に『見える化 強い企業をつくる「見える」仕組み』(東洋経済新聞社)という本を書きました。現場を重視する経営を提唱する著者は、企業活動のさまざまなものを「見える」ようにすることで、「人」を育み、「風土」を育み、「団結」を育むのだと強調しています。
 つまり、今解決すべき問題は何なのか、ということを目で見えるようにし、現場でその問題を共有して解決に導く。そうした現場においては、問題を隠して、あたかも問題がなかったかのような顔をする者がいなくなる風土が培われ、互いに現場の問題を明らかにするために組織がガラス張りとなり、組織の壁がなくなって団結力が生まれるのだと遠藤氏は分析しています。






 ところで、今日、京都市立病院麻酔科にデモで搬入された、スマートパイロットビューというモニターは、私たちがふだん使用している麻酔薬の体内での薬物動態を見える化したものと言えそうです。
スマートパイロットビューの画面表示
麻酔器Apolloからの情報と、二台のシリンジポンプからの情報を
取得して、年齢・性別・身長・体重に応じて薬物動態を図示してくれます
単一の薬剤が投与されたときの体内での血中濃度や効果部位濃度のシミュレーターは、これまでにもいくつかありました。しかし、鎮静薬と鎮痛薬の双方が投与されたときの相乗的な「麻酔深度」をシミュレーションするモニターは、このスマートパイロットビューが初めてでしょう。

 鎮静薬を縦軸に、鎮痛薬を横軸にとって、両者を一定の濃度で使用した際の麻酔の適切な深度というのは、双曲線カーブに似た曲線を描きます。この双曲線様カーブの左下の領域は「浅麻酔」の状態にあります。また、カーブの右上の領域は「深麻酔」の状態にあります。「適切な麻酔深度」はグレイの帯で囲まれた部分を示しています。
USBに落としたスマートパイロットビューの画面
右上のグレイの階調が、いわばBISモニターのような
鎮静の程度を表しています

 スマートパイロットビューでは、鎮静薬(プロポフォールやセボフルラン)と鎮痛薬(レミフェンタニル)の投与量で、そのときの「麻酔深度」がオレンジのドットで示されます。薬液の投与量を変えると、最終的な予測地点を画面上で示してくれるので、ナビゲーターのような働きをしてくれそうです。

今日のお土産

 北海道へ出張されていたAi部長から、北海道土産に札幌農學校というミルククッキーとロイズのポテトチップチョコレートをいただきました。
ありがとうございました。
箱が書籍型になった新バージョンです



ロイズは暑い夏でもチョコレートを売るのだった