2013年2月25日月曜日

Win-Win座骨神経ブロック法

月齢15.2
今日は月齢15.2なのですが、
満月は明日です(月齢16.2)。
 
 最近、K先生は、仰臥位で座骨神経ブロックを行う方法にトライしています。

 京都市立病院麻酔科では、膝関節全置換術(TKA)を受ける患者さんに対し、術後の創痛を和らげるため、大腿神経ブロック(局所麻酔薬持続注入)と座骨神経ブロック(局麻薬ワンショット)とを併用しています。




仰臥位で患肢をひねり、臀下部より
電気刺激を加えながら座骨神経をさぐる
大腿神経ブロックは、全麻導入後、エコーガイド下にブロックし、カテーテルを挿入します。膝の手術では、大腿神経ブロック単独では、膝下部の痛みが残るため、座骨神経ブロックを併用するのが有効です。しかし、術前に座骨神経ブロックを施すと、総腓骨神経がブロックされるので、術後に術者が、患者に足を背屈してもらって、浅腓骨神経を損傷していないかを確認するのが困難となる場合があります。

 そこで、K先生は、座骨神経ブロックを術後に施すようにしました。このとき、電気刺激装置を用いて、座骨神経領域を穿刺すると、足の背屈運動が観察されます。これで、浅腓骨神経の損傷がないことが確認されるので、術者も安心できます。同時に座骨神経も同定できるので、ブロックの成功率があがります。局麻薬の効果はすぐに現れ、やがて電気刺激による背屈運動はなくなるのを目で見て確認できます。


 
 これならば、術者も納得、麻酔科医も満足、のWin-Win座骨神経ブロックですね。

座骨神経周囲に局麻薬(黒い部分)が注入されたところ

  教科書には、座骨神経ブロックは、側臥位ないしは腹臥位で行うと説明されていますが、仰臥位で患肢を90度に屈曲して、健肢側に股関節をひねって臀部を露出する体位をとると、エコーのプロ—べをやや下から当てて臀下部で座骨神経にアプローチができます。








 このためには、術者の協力がいるので、ふだんから整形外科医とよいコミュニケーションがとれていることも条件のひとつとなるようです。

 局麻薬が注入されて、足の背屈運動が減弱する様子を動画でどうぞ。