2013年2月16日土曜日

われらが麻酔科は緩和にいかに貢献できるか?

 いよいよ、新病棟の始動に向けて準備が始まりました。
 来る2月24日には竣工式。

3月2日には、内覧会を兼ねた京都市立病院地域医療フォーラムが開催されます。


















 今日は、午後からバプテスト病院主催のバプテスト緩和ケア勉強会に参加しました。
 京都市立病院も、新棟には緩和病棟ができます。麻酔科は、緩和ケアに対しては、主として疼痛緩和のためのブロックや硬膜外鎮痛、薬物療法などの領域で関与していけるので、今後は緩和ケアに対する知識と経験を積んでいく必要が生じてくると思われます。

バプテスト緩和ケア勉強会
 バプテスト緩和ケア勉強会は、京都大学百周年時計台記念館国際交流ホールで行われました。
 ケアーズ白十字訪問看護ステーション代表取締役の秋山正子先生と聖隷三方原病院緩和支持治療科部長の森田達也先生の講演がありました。


 緩和ケアへの麻酔科の関わりは、「疼痛の軽減」という領域になります。
 ところで、この「疼痛」というのは、患者さんの症状のひとつに過ぎません。わたしたち麻酔科医は、ともすれば、「疼痛」という症状がなければそれでよし、といった考え方に慣れてしまっているのではないでしょうか。しかし、今日の森田先生の講演の中で、とくに緩和ケア領域では「症状をみて人を見ず」という態度はいけないとの指摘がありました。緩和ケアにおいては、その人が大事にしようと思っていることを理解してあげることが大事なのだそうです。

 現在、緩和ケア領域では、緩和病棟などに入院してケアを受けるという方向から、在宅で緩和ケアを行う、という方向に流れが変わってきているようです。そのためには、地域連携が必要となり、医師・看護師だけでなく、ケアマネジャー、介護職や病院の地域連携室等、他職種とのコミュニケーションをとることが重要課題となってくるようです。

 しかし、日本には「察しあう、わかり合う」という文化が存在しているので、こうしたコミュニケーションの取り方は日本人にとってはいささかむずかしいようです。これが、職種をへだてた(つまり微妙に価値観の違った人同士の)コミュニケーションを困難にしいている原因のようです。

「『心からわかりあえなければコミュニケーションではない』という言葉は、耳に心地よいけれど、そこには、心からわかりあう可能性のない人びとをあらかじめ排除するシマ国・ムラ社会の論理がはたらいていないだろうか。」と平田オリザさんは指摘しています。だから、人間は分かり合えないけれど、わかりあえない人間同士が、どうにかして共有できる部分を見つけて、それを広げていくことが必要なのかもしれませんね。(平田オリザ『わかりあえないことから』[講談社現代新書]

丸太町橋から北山を望む
鴨川に夕焼け雲が映っていました
勉強会の帰りは、時おり雪のちらつく中、鴨川べりを歩いてみました。雪をいただいた北山や比叡山が、夕日に映えてきれいでした。
鴨川を遊泳するカルガモ一家
三条大橋ごしに比叡山を望む