見れば、一匹の犬が足に黒いレッグウォーマーをはき、首にネックウォーマーをしていました。
レッグウォーマーをはいてお散歩中の犬くん |
もう一匹のやや年寄りの犬にはレッグウォーマーはなく、綱も引いてもらっていませんでした。
童謡には「犬は喜び庭かけ回り…」とありますが、この老犬はあまり喜んでいるような顔つきではありませんでした。
「ぼくもレッグウォーマーがほしいな〜」 |
蛇足という言葉があります。
昔、中国の王さまが「一番早く蛇の絵を描いたものにほうびをあげよう」と言ったのに対して、絵の上手な男が一番に蛇の絵を描き上げました。顔を上げて周りをを見渡すと、他の人たちはまだ蛇の絵を描いておりました。男は、時間に余裕があるところを見せつけようとして、蛇に足まで描き加えました。
仕上がって王様に見せると、「これは蛇ではない。蛇には足などないぞ」と言われ、一番早く絵を描き上げたのに男はほうびをもらえませんでした。
ここから、「十分完成しているもののあとにつけ加える余計なもの」を、蛇足と呼ぶようになりました。
すると、古来犬の足として完成されていたものに、人がレッグウォーマーをはかせるのは、やはり蛇足と言わざるをえないかもしれませんね。
ふりかえって、麻酔の臨床においては、蛇足はないでしょうか?
ノープロブレム! |
小児科の外来診療では、患者(ときには親)の訴えと身体所見でほとんど診断がつきます。しかるに、小児が麻酔を受けるときには、風邪や下痢の症状など何もなく、ASAのPSが1の健康な小児であっても、そけいヘルニアや陰嚢水腫の手術を受ける際には、胸部レントゲン撮影、心電図、凝固系を含んだ血液検査を「術前検査」と称して行っています。
さらに、小児の状態は、一週間でも変わることがあります。一、二週間前の検査が大丈夫でもその間に体調が変わることは十分ありうることなのです。
すると、手術の前日あるいは直前の小児科医(あるいは麻酔科医)の診察があれば、それで事足りるような気もするのですが、いかがでしょうか?
小児の術前検査がすべて蛇足だとは言いませんが、成人病の宝庫のような成人と同様の検査を、元気な子どもにも課すのは過剰なのではないかしら?
ぼくのまちゅいじゃ、イヤでちゅか? |