京都水族館正面玄関のロゴマーク |
大水槽 |
計画段階では、海から離れた場所の水族館なんてナンセンス、という声もありましたが、開館すると予想を超える人気が出て、連日にぎわっています。
子どものオオサンショウウオ |
淡水に棲むオオサンショウウオを目玉展示のひとつとし、淡水魚の展示に力を入れています。また、旭山動物園で提案された「行動展示」的プレゼンテーションもとり入れているようです。
さらに環境に配慮したエネルギーの効率的な利用(太陽光発電・雨水利用・深夜電力の効率的利用など)を提案する姿勢にも好感がもたれたようです。
イルカショーもありますが、人を鼻先に乗せて泳ぐ、輪をくぐる、ボールを鼻先でつつく、といった華やかな「芸」はありません。しかし、イルカの生態を紹介する解説で観客を惹きつけていました。
バンドウイルカの頭部に外鼻孔が見えます |
イルカは、外鼻孔が頭頂部に開いています。食道の背面から鼻腔が腹側へ下りてきて、食道と「交叉」して気管に至っています。
イヌやマナティの頭部解剖(上図)と イルカの頭部解剖(下図) |
イルカショーでの解説によれば、イルカは、6500万年前に一度陸に上がった哺乳類が再び海に戻ったのだそうです。しかし、イルカと同じ水棲哺乳類であるマナティと比べると、咽頭と喉頭の関係が異なっているようです。
マナティは、イヌなど陸棲哺乳類と同様、食物が通るときには、喉頭蓋で気管の入り口を塞いでいます。(左図上の絵を参照)
ところが、イルカは気管から伸びる鼻腔部分が咽頭食道部を貫いて頭頂部の外鼻孔に達しているそうです。海を泳ぐ速さを獲得するために、外鼻孔の位置を次第に頭頂部にずらしていき、食物を咀嚼する必要がなくなったので、喉頭と咽頭が分離されてしまったのでしょうね。(左図下の絵を参照)
(参考:W. F. Perrin, et al ed. 'Encyclopedia of Marine Mammals' Academic Press)
以上の解剖から、イルカの挿管で予想されるのは、以下の点です。
①イルカの場合、食道挿管をする心配はなさそうです。
②ヒトに用いる喉頭鏡は役にたちそうにありません。
③挿管は盲目的経鼻挿管で気管に到達できそうですが、
かなり太くて長い気管チューブを必要とします。
(外鼻孔の径は約4cm、気管までは50cm以上ありそうです)
④機械的換気をする際には、死腔が大きくなるので、
一回換気量を十分に大きく設定する必要があります。
⑤仰臥位での手術時は、気管チューブが体の下敷きになるので、
チューブのキンク(折れ曲がり)に注意することが必要です。
(場合によっては、らせんチューブを用いましょう)