2013年7月1日月曜日

胃の動きが鈍くなる糖尿病

 今日は、長時間手術と併行して臨時の手術も入りましたが、待機のK先生のほか、研修医のO先生も居残りして下さったので、何とか本日中に手術を終えることができました。
 みなさま、おつかれさまでした。
臨時手術の麻酔を担当して
真剣なまなざしのO先生

 さて、最近は、糖尿病の患者さんの手術が増えてきました。

 糖尿病の患者さんには、網膜症、腎症、末梢神経障害という三大合併症があります。これらは、一見、多彩な病態に見えますが、実は細血管障害ということからとらえ直してみると、三つの障害が関連して見えてきます。
 すなわち、網膜の細血管が傷害されると、網膜がおかされ、やがては失明に至ります。腎臓の細血管が傷害されると、ついには腎不全となってゆきます。また、末梢神経への血流が悪くなると末梢神経障害によって、足先の神経が鈍くなりケガをしても気づかず、やがて壊死に至ることもあります。

 糖尿病を放置すると、細血管ばかりでなく大血管も傷害されるようになり、狭心症や心筋梗塞などの重篤な病態に至ることもあります。

 糖尿病の患者さんが麻酔を受けるときに見過ごされがちなのが、胃内容物の停滞です。胃を支配している自律神経が傷害されるために、糖尿病患者では胃内容物の排泄が遅れがちになります。テキストによっては、糖尿病患者の麻酔導入時は、フルストマック扱いをすること、と書かれたものもあります。

 この胃の内容物の停滞に対してメトクロプラミド(プリンペランなど)を投与すると、胃から排泄が促進されて胃内容物が減るというデータがあります。下図は、胃内容物の排泄速度を(1)糖尿病患者群、(2)テスト用の食事をとる前にメトクロプラミド10mgを投与した群、(3)非糖尿病患者の三群で比較したものです。糖尿病患者でも、メトクロプラミドの投与によって、胃内容物の排泄が促進されていることがよく分かると思います。
縦軸:胃に残っている放射性物質の割合(%)
横軸:放射性物質入りの食事をしてからの時間経過(分)
R. K. Stoelting et al. 'Anesthesia and Co-Existing Disease'

 今日のお土産
先週末、東京に研修に行かれていたT師長さんが、今回は和楽紅屋の和ラスクをお土産に買ってきて下さいました。
 いつもいつもありがとうございます。













 また、週末に家族で滋賀県長浜市にドライブに行かれたF先生からは、長浜のゴブラン焼きというサブレと金平糖をいただきました。
 ありがとうございました。