2012年12月22日土曜日

渡り廊下の過ごし方

 京都市立病院の新棟を建設する間、本館と北館をつないでいた通路が使えなくなり、三倍くらい長い迂回路ができています。














 この長〜い迂回廊下の壁には、さまざまな絵や写真が飾られていて、廊下を行く人の目を楽しませています。









 写真は、職員が撮ったものをA3の大きさに拡大したもので、検査技師のMさんは、春は桜、夏は祇園祭に花火、秋はすすき冬は雪景色と、季節に合わせた写真を提供して下さっています。













 絵は、患者さんから提供していただいたものから、ナースのお父さんが描いた本格的な水彩画まであります。






 この蝶々の絵は、鉛筆による細密画です。最初は写真かと思っていましたが、鉛筆画だと分かったときは、その精巧さに驚きました。










 麻酔科の医員室にも一枚の油絵がかかっています。柔らかな春の青空を背景にした桜の絵です。この絵は、麻酔科スタッフのK先生が描いたものです。モニターやテキストだけの殺風景な部屋に、絵が一枚あるだけで、心が穏やかになりますね。



2012年12月21日金曜日

冬至過ぎれば日は長くなる


 今日は冬至。一年でいちばん日が短くなる日、言いかえると夜がいちばん長い日。

 この日を過ぎれば、日はだんだん長くなります。

 東の空には、いちばん長い夜が明ける前、明けの明星が輝いていました。

そして、夜明け。

いちばん長い夜に別れを告げます。














 京都市立病院麻酔科は、今は神経ブロック黎明期です。
 今夏、ようやくエコーが導入され、TKAでの大腿神経ブロックや座骨神経ブロック、呼吸器外科での傍脊椎ブロック、腹部外科でのTAP(腹横筋膜面)ブロックなどを行っています。

                   今日は、A部長が大腿神経ブロックをされていました。


「ここが大腿神経です。
 右に見えるのは大腿動脈なので、気をつけて」














 毎週金曜日は、夕方から麻酔科の勉強会。
症例がすべて終わらず、なかなか全員が集まるのはむずかしいのですが、今は稲田英一先生編著『麻酔科クリニカル問題集』を使って、研修医の先生を交えてひとつずつ問題を解いて、コメントしたり議論したり、ときに反論したりしています。(この問題集、少し古くて、今は絶版になっているのですが、部長がamazonの古本で見つけて手に入れました)











  帰りに、京都の玄関口、京都駅に立ち寄りました。大階段の途中、下からでも目立つ場所に、クリスマスまで、高さ22メートルのクリスマスツリーが飾られています。


夜はイルミネーションでとても美しいのです。



2012年12月20日木曜日

手術室乾燥注意報発令!

最近、手術室に入ると、喉のあたりがイガイガしていました。吸入麻酔薬か何かを低濃度で吸っているときのような不快感です。研修医のK先生も、やたら口が渇く、と言っていました。


 どうやら、この原因は、室内の湿度によるものらしいです。

 今日の手術室の温度は、受付カウンターあたりで22.3℃、湿度は何と17%でした。どうりで静電気はパチパチするし、喉はカラカラになるわけです。
 
 なぜ、こんなに乾燥するのでしょうか?
 外は気温が低くなっています。気温が低いと大気中に含まれる水蒸気の絶対量は減ります。ところが、室内で気温が高くなると、大気中の水蒸気量は、もっと沢山存在できる余裕ができます。(飽和水蒸気圧が増えるので)ところが、手術室のように加湿器のない空間では、大気中の水蒸気量が相対的に少なくなるので、結果湿度は下がります。

 理屈はどうでもよいけれど、この乾燥度、何とかならないかしら?

 で、今日は潤いをもたせるために、手術室でともに働くナースの「自然な」姿を紹介します。
レビテーターを運ぶSさん。よいしょ、よいしょ。

電子カルテに記録するTさん。ニコッ

手術前の手洗い中のYさん。あ、カメラや
手術介助中のTさん。集中!
  ……と、みなさん、自然な姿をって言ったのに、ポーズを決めてくれました。
 ありがとうございました。

 

2012年12月19日水曜日

アドベントカレンダーと麻酔記録


 今日は、昨日と打って変わって、寒い一日となりました。京都周辺の山々には雪が積もりました。この先、気温はぐんと下がるとのことで、天気予報では、クリスマス寒波が来るよと言ってました。























 キリスト教では、待降節といって、クリスマス前の約四週間を祝う行事があります。この時期に、1〜24ないし25という日付のついたカレンダーに、毎日お菓子などが入れられたアドベントカレンダーと呼ばれるカレンダーがあります。




 子どもたちは、毎日その日の日付のお菓子を出して、クリスマスが来るのを心待ちにします。今日は、かわいらしいチョコレートが出てきました。


 このアドベントカレンダーでは、日付はだんだん少なくなっていくのですが、日々の麻酔記録は、日を追う毎にたまっていきます。


 最近では、電子カルテの中に麻酔記録が取り込まれるので、この棚にあるような麻酔記録のファイルはいらなくなりました。でも、京都市立病院麻酔科には、まだまだ昔の紙の麻酔記録が保存されています。古くなったものから処分をしているのですが、イソフルレンを使っていたころやエトレン、ハロセンと書かれた麻酔記録に、今は偉くなられた先生方の名前を見つけたりして、ニンマリすることもあります。





 さて、今日のナゾは、商品名の由来についてです。

 ラリンジアルマスクを挿入するときには、リドカインを含んでいない潤滑剤(ゼリー)をマスクの背面先端につけることが推奨されています。で、京都市立病院麻酔科では、リドカインを含んでいないゼリーとして、この「ヌルゼリー」を採用しています。
 問題はこの「ヌル」というネーミングです。ナースに聞くと、5人中5人が「塗るからでしょう」と答えます。でも、「キシロカインゼリー」だって塗るのです。
 よく見ると、横文字の綴りは「Null-Jelly」となっています。
 Nullというのは、英語では「無効な」とか「無価値な、空虚な」という意味になって、これだと「このゼリーには価値がありませんよ」と言っているみたいで、商品のネーミングとしては、何か変ですね。
 そこで、発音に注目してみると、英語ではnullは、[ナル]と発音します。この綴りを[ヌル]と発音するのはドイツ語で、ドイツ語の意味では「ゼロ」という意味になります。ネーミング会議の議論を想像するに、大学時代にドイツ語を少しかじった社長が「リドカインが入っていないという意味をこめてnull-jellyというのはどうかね?」と言うと、腰巾着の部長あたりが「それは、またしゃれた名まえでげすな」てなことを言って決めたのではないかしら?


2012年12月18日火曜日

ふたつのスタバから考えたこと

 京都市立病院の近くには、スターバックスの店がふたつあります。それも、わずか2-30mの距離を隔てて、です。こんなに近くに二店もあって、経営が成り立つのだろうかと心配になりますが、どちらもいつも人でいっぱいです。

 実は、このふたつのスターバックスは、うまく「差異」を創り出しています。

営業時間は、片方が朝10時から深夜2時まで。もうひとつは、朝7時から開店し、夜は10時ころには閉店しています。

 研修医の先生方が仕事を終えてコーヒーを飲みながら本を読むには深夜まで開いている店を利用し、当直明けでモーニングコーヒーを飲み、軽食が食べたいたいときには、もうひとつの店を利用することができるのです。





 スターバックスのミッションステートメントの中には、次のような項目があります。
 ・お互いに尊敬と威厳をもって接し、働きやすい環境を作る
 ・事業運営上での不可欠な要素として多様性を積極的に受け入れる
 ・コーヒーの調達や焙煎、新鮮なコーヒーの販売において、常に最高級のレベルを目ざす
 ・お客様が心から満足するサービスを常に提供する
 
 このミッションステートメントは、麻酔科の運営にも当てはまる項目であると思われます。「お互いに尊敬と威厳を持って接し」という部分は、麻酔科医局内だけに留まらず、外科医に対する姿勢としても必要な態度でしょう。
 「多様性」は、画一化された麻酔法に頼ることなく、つねに患者さんにとって最適の麻酔を心がける上で大事でしょう。
 麻酔に関する知識と技術は「常に最高級のレベルを目ざす」べきですし、患者さんが「心から満足する」麻酔は、究極の目標でしょうね。


さて、京都市立病院の新棟は、北側の地面の整地もほぼ終わりました。この北側のロータリーは、将来救急室への救急車の進入路となる予定です。

2012年12月17日月曜日

街はクリスマスモードに

御所の北側にある同志社大学の構内に、LED電飾で飾られたモミの木があります。今出川烏丸側の入り口から入るとすぐのところに、大きな光のツリーがそびえています。
先月末に、同志社大学は、将来医学部を設置すると発表しました。医学部をもつことは、同志社の創始者である新島襄氏の願いでもあったそうです。
 キリスト教精神にのっとった医学部ができたら、京都の医療も影響を受けるでしょうね。


デスフルランを使用中の室で、吸気中のCO₂濃度(IMCO₂)が7mmHgと高値になる現象が起きました。
 このとき、デスフルランの設定目盛りは6%で、フレッシュガス流量は、1L/分でした。見ると、炭酸ガスを吸収するソーダライムがかなり青く変色していて、吸収能が低下しているようでした。このソーダライムを交換すると、IMCO₂は0になりました。



デスフルランの使用量を減らすために、低流量麻酔をすると、ソーダライムの吸収能が残っていても、CO₂のソーダライムとの接触面積が小さくなって、吸収しきれずに再呼吸されるようです。
 このときのオペは、3D腹腔鏡によるもの。みんな3D用偏光メガネをかけています。デジカメで3D用のテレビ画面をとるとぶれたみたいに見えますが、偏光レンズを通して撮影すると…



    このように、見えました→












 では、最後に、同志社大学のイルミネーションを動画でお楽しみ下さい。

2012年12月16日日曜日

冬の散歩道

  天気がよかったので、昼に近所の公園まで散歩をしました。

 うっそうとした常緑樹の木々は、風でザワザワと音をたて、つい先週まで紅葉していた木立はほとんど葉を落としていました。

 でも、意外に暖かく、マフラーをしている首筋が、少し汗ばむくらいの陽気でした。











 サイモンとガーファンクルの曲に『冬の散歩道』というのがありました。

 Time, time, time
    See what's become of me
    While I looked around
    For my possibilities
   I was so hard to please
 (時よ、時よ、時よ
  ぼくがどうなってしまったか見ておくれ
  自分の可能性を捜し回っているうちに
  気むずかし屋になってしまった)

という歌い出しの曲です。

 若くて、自分の可能性を信じていた頃は、いつか何かモノになると思っていたけれど、気がつけば、いたずらに年だけとってしまったなと、この歌詞を口ずさむ度に思います。

 ローテーションで麻酔科に回って来られる研修医の先生方にとっては、この数ヶ月が、一生で唯一の麻酔とのふれ合いとなるかもしれません。

 そのわずかなふれ合いの時間を意義あるものにするのが、わたしたちスタッフの責務だと思います。

 さて、船を整備し、海に関する知識を身につけ、クルーで知恵を出し合って、明日からも最良の航海が続けられますように。


少年老い易く学なり難し
一寸の光陰軽んずべからず