2012年11月26日月曜日

左利きの麻酔科医は喉頭鏡をどちらの手に持つか?

 京都には、街中を走る路面電車があります。嵐電(らんでん)の愛称で親しまれる京福電鉄がそれです。一両あるいは二両編成の路面電車で、四条大宮から嵐山へ、途中の帷子ノ辻(かたびらのつじ)で乗り換えると、北野白梅町へ、というルートを走っています。

 京都市立病院の最寄り駅のひとつに、西院という駅があります。この駅、嵐電では「さい」と読みます。でも、同じ場所にある阪急電車の駅名は「さいいん」なのです。同じ漢字なのに、読み方が違っているのもナゾですね。




 嵐電は、「さい」と読みます(左)。
 阪急は、「さいいん」と読みます(右)。







  西院駅のフォームに入る嵐山行きの嵐電ですね。これは、京都の生八つ橋の宣伝をラッピングした車両です。

  この西院駅を出て、四条を超えたところに、「ギター教室」の看板があります。この看板、なぜか文字が鏡文字になっています。これもナゾです。


この四条を横切る踏切(踏切といっても遮断機はありませんが)のそばにある花屋さんの門前に、シクラメンの鉢植えが置かれていました。花屋さんは、早や冬支度。



 さて、今日は、左利き用喉頭鏡のお話でした。

 ふだん使っている喉頭鏡は、左手に持ちます。左利きでも左手に持ちますね。右利きが喉頭鏡を左に持つのであれば、左利きは喉頭鏡を右手に持つのが自然な気がします。そんな喉頭鏡ってあるのでしょうか?

 京都市立病院の麻酔科には、実は「左利き用喉頭鏡」というのがあるのです。
 下の写真を見て下さい。



 向かって、右側のが、ふだん使っている喉頭鏡です。そして、左側のが、「左利き用喉頭鏡」なのです。

 日常の臨床では、左利きのドクターであっても、右側の喉頭鏡でトレーニングを受けますし、全国大半の病院には右側の喉頭鏡しか置いてありません。では、「左利き用喉頭鏡」というのはどんなときに役に立つのでしょうか?

 たとえば、舌腫瘍が舌の右側にあって、容易に出血しやすいといったような場合、右側の喉頭鏡を用いると、ブレードが舌の右方に触れて、腫瘍から出血してしまう恐れがあるかもしれません。このような場面では、左側の喉頭鏡を用いると、ブレードが舌の左側に当たるので、出血の心配はなくなるわけです。
 また、増長した麻酔科医に初心を思い起こさせるために、たまにこの左利き用喉頭鏡を使うと、あるいは初心を思い出せるかも知れない、という効用もあります。(笑)

 一家に一台、じゃなかった病院にひとつあってもいいかも、という道具でした。
(もっとも滅多に出番はなさそうですが…)