2013年7月31日水曜日

単車好きに悪人はいない

 単車好きに悪人はいない。
嵐山で見かけたハーレーに乗った外国人
一緒に乗っていたワンちゃんにもヘルメットが…
やはり単車好きには悪人はいませんね

 昔からそう思っています。今週から麻酔科研修に来ているKb先生は、単車好きです。だから、彼はいい奴なのですが、とてもシャイなので、写真を撮られるのを嫌がっています。だから、今回は、彼の代わりに単車が登場します。

 単車の王様というと、やはりハーレー・ダビッドソンでしょうか?
 一番最初にハーレーを見たのは、姫路駅前でした。ツーリング途中の二人が二台のハーレーを駅前に停めていました。その大きな単車を見たとき、「バスみたいだ」と思ったのを覚えています。
 1200ccのV型二気筒のエンジンから出るアイドリング音は、腹の底まで響いていました。

 単車のエンジンは、空冷式といって、走行中に周囲を流れる空気でエンジンを冷却しています。効率よく熱を放散させるために、たくさんのひだがついているのですが、これが、単車のエンジンを美しく見せています。まさに機能美の極みですね。

 以前、鎌倉にあるハーレーショップに立ち寄ったときに、ハーレーのエンジンの模型が展示してありました。少し古いタイプ(1948年頃)のエンジンの模型でした。これは、売り物ではなかったのですが、オーナーに頼み込んで、しばらく交渉した後に譲ってもらいました。
ハーレー・ダビッドソンのエンジン模型
青い単三電池は大きさを比較するために置きました













 これは、電源に接続すると、実際にエンジンが動きます。手前のスロットルを回すと回転数が上がるのです。眼に見えない部分まで、驚くほど精巧に再現されています。


 ハーレーのエンジンはとても美しいので、ポールマッカートニーは、ウィングス時代のアルバム’Red Rose Speedway’のLPジャケットで、ハーレー・ダビッドソン(FX)のエンジンを採用していました。イギリスにはトライアンフという単車のブランドがありますが、エンジンの美しさでは、やはりハーレーに軍配が上がりそうです。
ウィングス’Red Rose Speedway’のLPジャケット(部分)
右にあるのはハーレー・ダビッドソンのエンジン

 ところで、単車で左に曲がろうとするとき、左のハンドルを前方に押していたことに気づかれていたでしょうか?これは、自転車でも同じなのですが、左に曲がるときに、ハンドルを左に切ると、実は左には曲がれないのです。
 試しに、自転車か単車をまっすぐ運転しているときに、左手でグリップを少し前方に押してみてください…ほら、左に曲がったでしょ!

2013年7月30日火曜日

カフェ コーヒー 珈琲 

 八重山諸島から帰ってきたFk先生は、黒糖の効いた生サブレと石垣島珊瑚焙煎「水だしアイスコーヒー」をお土産に買ってきてくださいました。


 水だしコーヒーは、別名ダッチコーヒーと呼ばれます。
 かつてオランダの植民地であったインドネシアでは、おもにロブスタ種のコーヒー豆が栽培されていました。このロブスタ種は、通常のドリップ方法で抽出すると、かなり強烈なコーヒーになるので、水で抽出していました。オランダの植民地で最初に作られたので、水だしコーヒーがダッチコーヒーと呼ばれるようになったのだそうです。
 インドネシアでは、現在見られるような、ガラス製の筒の中にスパイラルを取りこんだような器具をはじめから使っていたわけではなく、竹を使ったししおどしのような原始的な道具を使っていたと考えられているそうです。
田口謙『コーヒー 味わいの「こつ」』[柴田書店]より


スターバックスやタリーズで出されているスペシャルティコーヒーは、アラビカ種という豆です。これは、煎り立て、挽き立て、淹れ立てのホットコーヒーが一番おいしいと言われています。一方、ロブスタ種というのは、アラビカ種に比べると安価で、通常インスタントコーヒーや缶コーヒーの原料とされている品種です。
水だしコーヒー
の抽出器

 田口謙氏によれば、「水だしコーヒーは、普通の抽出法でいれたのでは欠点が目立ってしまうような豆でコーヒーを抽出するために工夫された方法」なのだそうです。ロブスタ種のコーヒー豆では、通常の温度の湯で抽出すると、独特の味や香りが強烈に引き出されてしまうので、その代わりにたっぷり時間をかけて、できるだけ良質成分のみを抽出する方法として考え出されたのが、水だしコーヒーなのだそうです。(田口謙 前著より

 ところで、このコーヒーの良質成分というのは、具体的には、どのような物質をさすのでしょうか?

 コーヒーというと、まず、苦みが頭に浮かびます。
 この苦みの中心成分はカフェインです。カフェインには興奮、覚醒、利尿作用などの効果があります。コーヒーを液体クロマトグラフィで分析すると、苦みの成分としては、カフェインの他に、タンニン、クロロゲンなどが含まれているそうです。(広瀬幸雄『工学屋の見たコーヒーの世界』[いなほ書房]
 広瀬氏は、これらの物質を単独で水溶液にして飲んでみたそうですが、ただ苦いだけであったそうです。
 コーヒーの酸味は、クロロゲン酸を主体とし、その他の酸類(たとえばリンゴ酸、クエン酸など)から構成されているそうです。
 いずれにしても、成分をばらばらに分解しても、コーヒー独特の味や香りは説明できないようです。

岡崎琢磨『珈琲店タレーランの事件簿
また会えたなら、あなたの淹れた珈琲を』
(宝島社)


 『珈琲店タレーランの事件簿』に出てくる主人公は、京都の二条富小路付近のタレーランという喫茶店で、理想のコーヒーの味に出会いました。もちろん、この店は架空の店ですが…
 
 理想のコーヒーというのがどのようなものなのか、なかなか想像できないのですが、忘れられないコーヒーの味というのは、これまでに幾度か経験したことがあります。












 銀座で偶然入った喫茶店で出されたコーヒー(ペーパーに入れた豆に銀のポットから注ぐマスターの姿は覚えているのに、店の名前を忘れてしまいました)、かつて河原町三条にあったちきりやという店で出されたフレンチコーヒー、そして湯布院の天井桟敷でモン・ユフというチーズケーキとともに飲んだ自家焙煎コーヒー。

 不思議と、これらのコーヒーは、飲んだ情景まで記憶に残っているものですね。
天井桟敷のモン・ユフと自家焙煎コーヒー
確か、滑車でお盆を吊り上げて。
コーヒーとチーズケーキが届けられました。






 

2013年7月29日月曜日

手術室の薬は虎と豚が剣で戦っている!?

 次のような麻酔の導入は、日頃よく見かけます。

 「50歳女性(身長155 cm / 体重49 kg)に対して、腹腔鏡下胆嚢摘出術が予定された。
 点滴路を確保し、麻酔導入を行った。血管痛の予防のために、2%リドカインを50 mg静脈内投与した後、プロポフォールをTCI ( target - contorol infusion)で4.0 μg / mL、レミフェンタニルを0.3 μg / kg / minで持続投与し、フェンタニル0.1 mg、ロクロニウム40 mgを静注した。導入時、一時、心拍数が40代 / min前半、収縮期血圧が70 mmHgとなったため、硫酸アトロピン0.5 mgとエフェドリン4 mgを投与し、心拍数が60代 / min以上、収縮期血圧が90 mmHg以上に上昇したことを確認して、気管挿管を行った」

 さて、ここに、七種類の薬剤が登場しますが、この内で、劇薬に分類されているのはどれでしょうか?

 答え:実は、ロクロニウム以外すべてが劇薬なのです。ロクロニウムは劇薬ではなく、もっと危険な毒薬なのです。

 ただし、これらの薬物は、日常の医療では通常使用されるもので、毒物及び劇物取締法で指定を受けている毒劇物とは一線を画するものです。でも、容量を間違えると患者の安全を損なうのは確かなので、注意を要します。






 薬事法で言うところの劇薬の定義は、「致死量が、経口投与で体重1 kgあたり300 mg以下のもの」、毒薬の定義は、「致死量が、経口投与で体重1 kgあたり50 mg以下のもの」となっています。





 劇薬は、アンプルまたはバイアルに貼られたラベルの薬品名が、必ず白地に赤字で表記されます。また、毒薬は、黒字に白抜きの表記がされています。







毒薬の容器に表示される
表記例
劇薬の容器に表示される
表記例
















 さらにつけ加えると、フェンタニルとレミフェンタニルは劇薬指定であると同時に麻薬の指定も受けています。ですから、これらは、他の薬剤と違って、麻薬処方箋で処方する必要があり、空のアンプルやバイアル、使わなかった残液も薬局に返却しなければならないのですね。


 ところで、劇薬の「劇」という字の語源は何だろう、と思って調べてみたら、「虎と豚(イノシシのこと)が剣をもって戦っている様子から」という解説に出会いました。ほんとかウソかは分かりませんが、面白い解説だと思いました。

今日のお土産

 月一で東京へ研修に行かれているT師長さんから、今日はさくさくキャラメリングというお菓子をいただきました。いつもいつもありがとうございます。


 

2013年7月28日日曜日

To be or not to be. That is the question.(問題は、選択することだ)

 手術時の麻酔は、選択の連続です。

 たとえば、術中に血圧が上昇してきたときに、吸入麻酔薬の濃度を上げるのか、麻薬性鎮痛薬を追加投与するのか、硬膜外に局麻薬を投与するのか、あるいは降圧薬を投与するのか、選択肢はいくつもあります。手術時には、瞬時の判断が要求され、血圧上昇の「正確な」診断は要求されません。しかし、通常、私たち麻酔科医は、何らかの選択を迫られます。
 あえて「経過観察」すると決めたのならば、何もしないという選択肢も、あるかもしれません。ただ、「経過観察」は、どの選択肢も選べないからそうする、というのでは選択したとはいえませんね。
にんぎょひめは二本の足をもらうことを選択しました。
でも、その代わりに声を失うことになりました。
そのあやこ文・いわさきちひろ絵『にんぎょひめ』(偕成社)より


 人生もまた、選択の連続です。恋愛、受験、就職、結婚、という大きな選択ばかりでなく、晩ご飯をカレーライスにするかハヤシライスにするか、あるいは思い切って外食にするか、というのも選択です。ケチャップの銘柄をカゴメにするかハインツにするかというのも選択です。


 しかしながら、実際には、私たちは「選ぶことができる」ということ自体に気づいていない場合があって、選ぶ手前で問題を解決せずに先延ばしにしたり、ただ何となくやり過ごそうとしている場合が多いのだ、とハーバード大学で最大の人気を博した講師、タル・ベン・シャハーは述べています。

 『次の2つから生きたい人生を選びなさい』(大和書房)では、101の選択問題が提示されています。
 冒頭の「a 流れに身をまかせて生きる b 選択して生きる」の中では、「選択の力」を改めて認識してください、と呼びかけて、シャハー氏はこう言っています。

「あなたの前に広がっている可能性にじっくりと思いをはせてみましょう。そして自分に問いかけて下さい。望む人生を送るためには、何をすべきか。私はどこに行きたいのか。どうやってそこに辿りつくのか。いまある可能性を書き出して、信頼できる人と話し合ってみてください」
 そして、決して「選択肢はない」という答えは出さないように、と提案しています。

 ただし、「選ぶ」生き方をするのは、簡単ではありません。
 努力だけでなく、ときには勇気も必要となるでしょう。進んで葛藤と失敗を受け入れる態度が必要となるかもしれません。
 しかし解決策を見つけ、成功や幸せを実現するためには「選ぶ」という態度がぜひとも必要なのだ、と強調しています。

 要は、主体的に生きてみましょう、ということですね。

『フィッシュ!』(早川書房)


 シアトルにある世界的に有名なパイク・プレイス魚市場から生まれた、やる気のある社員を作りだし、職場全体を燃えたたせ、顧客を喜ばせる哲学『フィッシュ!』の中でも、その冒頭に、
 「態度を選ぶ」
という項目があります。

 つまり、「仕事そのものは選べなくても、どんなふうに仕事をするかは自分で選べる」のです。不機嫌な態度をもちこんで、憂うつな一日を過ごすこともできる。ふてくされてやってきて、仲間やお客にいやな思いをさせることもできる。あるいは明るいほがらかな顔で現れて、一日を楽しく過ごすこともできる。どんな一日を送るかは、自分で選べるのです。






 手術中の麻酔では、選択して態度を決定しなければ、患者の状態が悪化してしまう局面に頻繁に遭遇します。それも、自らの手で招いた状況ばかりではなく、手術操作や、患者の合併症など自分の意志に反して生じた状況に対して、選択を迫られる場合もしばしばです。
 してみれば、麻酔を経験するということは、ある意味「態度を選ぶ」訓練にもなっていると言えるかもしれませんね。

2013年7月27日土曜日

Frog's eye signとは…

 大阪で開催された、「体幹神経ブロック/小児神経ブロック ワークショップ」に行ってきました。

 出がけに、近所の公園の植え込みで、マツヨイグサが咲いているのを見かけました。マツヨイグサは、漢字では待宵草と書くので、てっきり宵に咲くものと思っていたら、昼日中から咲いているものなのですね。



 その横には、早、ススキの穂が頭を垂れていました。











 神経ブロックのワークショップは、淀屋橋にあるビー・ブラウンエースクラップ大阪営業所で開催されました。京都市立病院麻酔科からは、Ts先生も参加されました。
触診で仙骨裂孔を探すTs先生

 埼玉医科大学国際医療センターの上嶋浩順先生の「体幹神経ブロック(腹横筋膜面ブロック、腹直筋鞘ブロック、傍脊椎ブロック)」と兵庫県立こども病院の香川哲郎先生の「小児神経ブロック(腸骨鼠径神経ブロック、仙骨ブロック)」の講義とハンズオンセミナーという内容でした。20名の参加者で、小児と大人の模擬患者さんに協力していただいて、講師とも直接やりとりしながらの気さくな会でした。

「右季肋部の斜めの創に対しては、肋間神経ブロックをすればよい」
「腹部のブロックでは、肋骨弓下ブロック云々という名称よりも、どの面でブロックすればどの皮膚分節がブロックされるかを理解する方がよい」
「小児の腹部が陥凹してエコーのプローベと腹壁の間にすき間ができる場合には、ゼリーを厚めにつければよい」
「小児の仙骨ブロックで、仙尾靱帯を貫くときの感触は、山芋をつまようじで刺したときのような感じだ」
…など、経験者ならではのコメントも聞けました。

 小児の仙骨ブロックでは、ブローベを仙骨を横断する面で当てたとき、左右の仙骨角と仙尾靱帯を描出するとカエルの目のように見えますが、これはFrog's eye signというのだそうです。
Frog's eye sign
二つの黒い丸がカエルの眼
口のように白く横一文字に見えるのは
仙骨面。その上に仙尾靱帯が見えます。

2013年7月26日金曜日

私たちは植物が根づく土地を耕しているだろうか?

 サン・テグジュペリの『星の王子さま』の中に、こんな言葉があります。



 「人間?6人か7人はいるはずよ。何年か前に見たことがあるわ。だけど、どこにいるかは誰も知らないの。あれは風に飛ばされるでしょ。根がなくて生きるのって大変よね」
(池澤夏樹訳)

 砂漠に降り立った王子さまが出会った一本の花が、「人間はどこにいますか?」という王子さまの質問に答えたものです。

 しっかり大地に根をはった植物からすれば、人間というのは根がなくてどこにも落ち着けないように映るのでしょう。
 仏文学者の水元弘文北九州市立大学名誉教授によれば、私たちには植物のような根はありませんが、目に見えない根がある、と言います。




 家族、友人、学校、職場……等々。こうした根は時には不自由を感じさせますが、それでも何も結びつくものがない虚しさや不安定さよりはましで、その結びつきが自分の行動や自分の存在を意味あるものにすることに私たちは気づいているのです。

 「仕事にしろ、結婚にしろ、かなり自由を制限するものですが、それでも多くの人は就職を喜び、結婚を喜びます。私たちが求めているのは自由そのものではなく、自分を成長させ、花を咲かせ、実を結ばせそうな土地であり、そこに根づくことなのです。本当に欲しいのはそこで得られる充実です。」(100分de名著『星の王子さま』NHKテレビテキストより

ピエール・ブレーズ指揮・クリーヴランド管弦楽団
ストラビンスキー作曲『春の祭典』(1969年)
のLPジャケットより

 植物にとっての「土地」は、土壌そのものでしょう。しかし、人間にとっての「土地」というのは、たとえば、住んでいる家屋、学校の校舎、会社の社屋、あるいは病院の建物のことでしょうか?
 いいえ、私たちにとっての「土地」とは、そこでともに暮らす家族や、ともに学ぶ級友や学校の先生方、ともに働く会社や病院の同僚や上司…等々。
 つまり私たちの「土地」とは「人の集まり」なのです。











 どこに根を下ろすか、まわりの人とどのように過ごすか…それは、そこにいて自分自身が成長し、花を咲かせ、実を結ぶことができるか、そして充実感を感じられるかどうかで選ぶことができるかもしれません。

クリスタルキングのメンバー

 大都会のように人がいくら大勢集まっていても、「交わす言葉も寒い」クリスタルキング『大都会』[1980年])ようでは意味がないのです。

 若い間は、「土地」に頼るだけでも許されるかもしれません。でも、自分が部下や後輩をもつ立場になったときには、自らが「土地」の一部を構成しているということを自覚しなくてはなりません。
 いつも、植物がすくすく育ち、将来美しい花を咲かせてくれるように、植物にとって「土地」を豊かなものに保っておかなければなりません。

 毒に満ちた「土地」では、やがて、草は枯れ、花はしおれてしまうでしょう。

2013年7月25日木曜日

人はどうして夏に南の島に渡るのか?

 今日から、Fk先生は夏期休暇で石垣島に出発されました。

 先週は、Ts先生がお子さんと一緒に沖縄本島に旅行されました。今日は、先週西表島の離れ小島で休暇を過ごされたSm先生と沖縄を北の端までドライブしたナースのKkさんが、お土産を持ってきて下さいました。
Sm先生のお土産
めずらしいくんぺんという伝統菓子
Kkさんのお土産、雪塩ちんすこう
ちんすこうにもいろんなバリエーションがありますね





 この暑い夏に、人はどうしてもっと暑い南の島をめざすのでしょうか?
 自然を満喫するため、おいしいものを食べるため、名所旧蹟をたずねるため、買い物をするため、素敵な人と出会うため…人が旅をする理由はさまざまなようです。

 サラリーマンの安居良基さんは、高校生のとき、校内模擬試験で出題された島の名前が分からず、「エロマンガ島」と解答用紙に書きました。返ってきた答案には、赤い字で、「ふざけるな!」と書いてあったそうです。その答案を持って、安居さんは、地理の先生のところへ行って、「この島が実在する」ことを地図を見せて説明しました。
(エロマンガ島は、ニューカレドニアの北にある、バヌアツ共和国南部にあります。)
エロマンガ(オーストラリア)に立つ安居良基さん
安居良基さんのホームページより)


 それから、安居さんは、珍しい地名に興味を持つようになりました。
 スケベニンゲン(オランダ)、アホ(アメリカ合衆国)、キンタマーニ(インドネシア)、ぷに(ニュージーランド)、シリフケ(トルコ)、マルデアホ(アルゼンチン)等々。
 そしてついには、サラリーマンになったとき、その、ちょっと変わった地名の場所に実際に出かけることを思いつきました。以来、13年間、実際に出向いた土地で地名と一緒に写真を撮り、ついには本まで出版してしまったのでした。
 その名も『世界でもっとも阿呆な旅』(幻冬舎)





 かくのごとく、人が旅をする理由はさまざまなのです。
西山に沈む夕日


 追記:今朝、子ツバメが亡くなりました。止まり木に乗ったまま、静かに息をひきとったようです。保護してから四日目の朝でした。エサが足りなかったのか、食べたものが悪かったのか…ついに空を舞うことなく、昇天しました。
 野生の生き物を人が育てる難しさを思い知らされました。

顔が笑っているように見えたのが救いでした。
ほんのひとときでしたが、
ともに過ごせて楽しかったです。
ありがとう。合掌

 

2013年7月24日水曜日

近ごろの若者のひるめし問題

 昼に食堂に行くと、珍しく一年目研修医のOt先生がいました。
 いつもは手作り弁当持参のOt先生が、今日はB定食(ちょいピリ辛スタミナ牛肉いため)を食べておられました。

 理由をたずねると、どうやら作ったおかずを冷蔵庫に忘れてきてしまったようです。Ot先生は、前の晩におかずを作りおいたりして、毎日欠かさず弁当をもって来られます。先月、一年目研修医のOk先生と一緒に麻酔科をローテートをされていたときには、一日交替で、お互いの昼の弁当を作り合っていたのだとか。
友情出演:
現在、救急科ローテ中の
Okで〜す

Ot先生のお弁当。
開けてがっかり。今日は白飯のみ…
















 Ot先生の席の隣で、コンビニの冷麺を食べていた二年目研修医Tg先生の机の上にも、手作り風のラップにくるんだおにぎりが置いてありました。聞けば、きのう自ら釣ったタコでタコ飯を作った残りなのだとか。
 Tg先生は、昨日は休暇をとって武庫川一文字(むこがわいちもんじ)にタコ釣りに出かけました。武庫川一文字は、兵庫県の武庫川河口沖にある長さが4.3km以上もある防波堤で、海釣りに来る釣り師や家族連れでいつもにぎわっているそうです。
捕れたてタコで作ったタコ飯おにぎり


 Tg先生によれば、タコを釣るには疑似餌を使うのだそうです。しかし、タコがかかっても吸盤で辺りに吸いつかれると根がかりしたような重たい感じになって、なかなか釣り上げられないのだとか。
時計のバンドのあとを残して
すっかり日焼けしたTg先生の左手首
















 ところで、今日は、京都市立病院での初期臨床研修を考えておられるKnさんが、麻酔科の見学に来られました。先日(7月6日)開催された病院説明会にも参加されていたそうです。Knさんは麻酔科を志望されているとのことで、今日はMw先生と一緒に一日手術室で過ごされました。
目の輝きが印象的なKnさん
一緒に働けるといいですね



2013年7月23日火曜日

学習する組織をめざして

 新しいナースカンファレンス室で、ナースが話し合っていました。

 ナースカウンターの奥にあった器材室を改装して、ナース用のカンファレンス室ができました。今日は、五人で外科内視鏡手術のオリエンテーション用資料作りの相談をしていました。
新しいナースカンファレンス室でブレーンストーミング?
小規模のカンファレンスが、いつでも開ける場があるというのはありがたいですね。

 将来外科志望の1年目研修医、O先生の表情は真剣です。
 この青いスクリーンの向こう側とこちら側では、気にかけることがかなり異なっています。輸液はしぼるべきか負荷すべきか、輸血は進んでするべきかひかえるべきか、筋弛緩は目いっぱい入れるべきか入れずにおくか…等々、外科医と麻酔科医の考え方は、しばしば対立することがあります。初期臨床研修制度が発足して、ひとりの研修医が外科医の立場も麻酔科医の立場も経験できるのはよいことかもしれませんね。
う〜む、血圧が低いわ。デスの濃度を下げるか、
アルチバを切るか、エフェドリンをいくべきか…
それぞれに理由があって、どちらかが正しいという答えがあるわけではない場合もあります。いずれにしても、いろんな観点から物事を見る機会が得られるのはよいことですね。

 こちらは呼吸器外科の手術中。新しい手術室では、内視鏡システムが充実したので、一見モニター画面だらけに見えますね。
 
胸腔鏡下の術中の様子
テレビだったら4局が一度に見られます


2013年7月22日月曜日

セミの季節がやって来ました

 夕方、外に出るとクマゼミが鳴いていました。
 京都市立病院の木立で鳴くセミはすべてクマゼミです。今年もいよいよセミが鳴く季節が到来しました。
夕方、京都市立病院の正面玄関にある
この木でクマゼミが鳴いていました
今日は、夏休みをとって沖縄旅行をされたT先生が帰ってこられました。T先生は、9ヶ月のお子さんを連れて飛行機に乗る、という旅に挑戦されました。旅行中、離乳食と母乳の食事もたいへんなのですが、飛行機での移動は制約が多いのでいっそう大変でしょうね。
 機内ではお子さんがむずかって泣かれたそうですが、まだ旅行シーズン前で機内がすいていたので、助かったと言っておられました。
T先生の沖縄みやげ
定番のちんすこうや紅いもタルトを
避けたチョイスがにくいですね
『淡路島の詩
包装紙の下の方に注目
すでに破られている

 1年目研修医のO先生は、週末に淡路島に行ってこられました。お土産を買ってきて下さったのですが、すべて、包装が破られていました。
 なぜ?と思ってたずねてみると、いつもA部長が、麻酔科医員室Bの若手医師の部屋に、お土産をおすそわけに持ってきて下さるのを見ていて、その手間を省こうとして、最初からお菓子を分けてもってきたのだとか…
 う〜む。
『淡路島 牛乳ケーキ
やはり包装紙の下が破られている






















 麻酔科医員室Bには、黒いボディの冷蔵庫が届きました。
 専攻医のA先生とK先生のお二人が、先週末、帰りに電気屋さんに寄って冷蔵庫を決めてきて下さいました。
黒い色はなかなか存在感があります

 ツバメは昆虫を食べます。今日は、バッタを3匹も食べたそうです。